行政書士試験 過去問トレーニング vol.143

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行政書士過去問 平成30年問35

問題

後見に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

    1. 未成年後見は、未成年者に対して親権を行う者がないときに限り、開始する。
    2. 未成年後見人は自然人でなければならず、家庭裁判所は法人を未成年後見人に選任することはできない。
    3. 成年後見は、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者について、家庭裁判所の審判によって開始する。
    4. 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産管理に関する事務を行う義務のほか、成年被後見人が他人に損害を加えた場合において当然に法定の監督義務者として責任を負う。
    5. 後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。




解説

 

    1. 妥当ではない 民法838条1号に規定されている通り、親権を行う者が管理権を有しないときにも未成年後見は開始される。

      民法838条

      後見は、次に掲げる場合に開始する。
       一号 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
       二号 後見開始の審判があったとき。

       


    2. 妥当ではない 未成年後見人は自然人、法人問わず選任することができる。また旧民法842条が削除されたため複数人の選任も可能である。

      旧民法842条 削除

      未成年後見人は、一人でなければならない。

       


    3. 妥当ではない 事理を弁識する能力が著しく不十分であることは補佐人の要件である。

      民法7条 (後見開始の審判)

      精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

      民法11条 (保佐開始の審判)

      精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。

       


    4. 妥当ではない 下記判示の通り、成年後見人が当然に法定の監督義務者として責任を負うわけではない。

      損害賠償請求事件 最判平成28年3月1日

      保護者や成年後見人であることだけでは直ちに法定の監督義務者に該当するということはできない。

       


    5. 妥当である 民法850条1に規定されている通り。 

      民法850条(後見監督人の欠格事由)

      後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。

       

 






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