司法書士試験 過去問トレーニング vol.13
司法書士試験過去問一問一答
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司法書士過去問 令和2年度 午前の部 問13
問題
Aがその所有する甲土地にBのために抵当権(以下「本件抵当権」という。)を設定し、その登記がされた後に、Cが甲土地をAから賃借して甲土地上に乙建物を建築した。甲土地の抵当権者はB以外になく、Cの賃借権(以下「本件賃借権」という。)は登記されている。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。
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- 本件抵当権の被担保債権について不履行があったときは、Bは、不履行の後に生じたAのCに対する賃料債権を、差し押さえることなく直接取り立てることができる。
- Cは、本件抵当権について、抵当権消滅請求をすることができる。
- Bが本件賃借権を本件抵当権に優先させる旨の同意をし、その同意の登記があるときは、Cは、抵当権の実行としての競売により甲土地を買い受けた者に対し、本件賃借権を対抗することができる。
- Bが抵当権の実行としての競売により甲土地とともに乙建物を競売したときは、Bは、乙建物の代価について優先権を行使することができない。
- 本件抵当権が実行されて甲土地が競売されたときであっても、その競売における買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、Cは、甲土地を買受人に明け渡すことを要しない。
解説
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- 誤り 民法304、372条に規定されている通り、本肢の場合は賃料債権を差押えなければならない。
民法304条(物上代位)
1項 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2項 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。民法372条(留置権等の規定の準用)
第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
- 誤り 民法379、383条に規定さているとおり。なお、ここでいう抵当不動産の第三取得者には地上権・賃借権・永小作権・地益権者は含まれない。
民法379条(出資された財産等の価額が不足する場合の責任)
抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
民法383条(出資された財産等の価額が不足する場合の責任)
1項 抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
一 取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
二 抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
三 債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面
- 正しい 民法387条に規定されている通り。
民法387条(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)
1項 登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2項 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。
- 正しい 民法389条に規定されている通り。
民法389条(抵当地の上の建物の競売)
1項 抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
2項 前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。
- 誤り 民法395条に規定されている通り、土地の賃貸借には引渡しの猶予期間が設定されていない。
民法395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
1項 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者
二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
2項 前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。
- 誤り 民法304、372条に規定されている通り、本肢の場合は賃料債権を差押えなければならない。
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