行政書士試験 過去問トレーニング vol.200

行政書士過去問一問一答

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行政書士過去問 平成26年問27

問題

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

    1. X会が権利能力なき社団であり、Aがその代表者である場合、X会の資産として不動産があるときは、その不動産の公示方法として、Aは、A個人の名義で所有権の登記をすることができる。
    2. X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務のための責任財産になるとともに、組合員であるA、B、CおよびDも、各自が損失分担の割合に応じて責任を負う。
    3. X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。
    4. X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできない。
    5. X会が権利能力なき社団である場合、構成員であるA、B、CおよびDは、全員の同意をもって、総有の廃止その他X会の社団財産の処分に関する定めのなされない限り、X会の社団財産につき持分権を有さず、また、社団財産の分割を求めることができない。




解説

 

    1. 正しい 下記判示の通り。 

      所有権移転登記請求 最判昭47年6月2日

      権利能力なき社団の資産はその社団の構成員全員に総有的に帰属しているのであつて、社団自身が私法上の権利義務の主体となることはないから、社団の資産たる不動産についても、社団はその権利主体となり得るものではなく、したがつて、登記請求権を有するものではないと解すべきである。不動産登記法が、権利能力なき社団に対してその名において登記申請をする資格を認める規定を設けていないことも、この趣旨において理解できるのである。(中略)本来、社団構成員の総有に属する不動産は、右構成員全員のために信託的に社団代表者個人の所有とされるものであるから、代表者は、右の趣旨における受託者たるの地位において右不動産につき自己の名義をもつて登記をすることができるものと解すべきであり

       


       

    2. 正しい 民法674、675条に規定されている通り。

      民法674条(組合員の損益分配の割合)

      1項 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。
      2項 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。

      民法675条(組合の債権者の権利の行使)

      1項 組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。
      2項 組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による。

       


       

    3. 誤り 構成員であるA、B、CおよびDは、取引の相手方に対し、直接には個人的債務ないし責任を負わないと解するのが、相当である。

      売掛金等請求 最判昭和48年10月9日

      権利能力なき社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、その社団の構成員全員に、一個の義務として総有的に帰属するとともに、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し、直接には個人的債務ないし責任を負わないと解するのが、相当である。

       


       

    4. 正しい 民法668、676条に規定されている通り。

      民法668条(組合財産の共有)

      各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。

      民法676条(組合員の持分の処分及び組合財産の分割)

      1項 組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない。
      2項 組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。
      3項 組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。

       


       

    5. 正しい 下記判示の通り。

      債権仮差押 最判昭和32年11月14日

      権利能力なき社団の財産は、実質的には社団を構成する総社員の所謂総有に属するものであるから、総社員の同意をもつて、総有の廃止その他右財産の処分に関する定めのなされない限り、現社員及び元社員は、当然には、右財産に関し、共有の持分権又は分割請求権を有するものではないと解するのが相当である。

 






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