行政書士試験 過去問トレーニング vol.84

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行政書士過去問 平成29年問7

問題

憲法の概念に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

    1. 通常の法律より改正手続が困難な憲法を硬性憲法、法律と同等の手続で改正できる憲法を軟性憲法という。ドイツやフランスの場合のように頻繁に改正される憲法は、法律より改正が困難であっても軟性憲法に分類される。
    2. 憲法の定義をめぐっては、成文の憲法典という法形式だけでなく、国家統治の基本形態など規定内容に着目する場合があり、後者は実質的意味の憲法と呼ばれる。実質的意味の憲法は、成文の憲法典以外の形式をとって存在することもある。
    3. 憲法は、公権力担当者を拘束する規範であると同時に、主権者が自らを拘束する規範でもある。日本国憲法においても、公務員のみならず国民もまた、憲法を尊重し擁護する義務を負うと明文で規定されている。
    4. 憲法には最高法規として、国内の法秩序において最上位の強い効力が認められることも多い。日本国憲法も最高法規としての性格を備えるが、判例によれば、国際協調主義がとられているため、条約は国内法として憲法より強い効力を有する。
    5. 憲法には通常前文が付されるが、その内容・性格は憲法によって様々に異なっている。日本国憲法の前文の場合は、政治的宣言にすぎず、法規範性を有しないと一般に解されている。

解説

 

    1. 誤り 頻繁に改正されるとしても改正手続きのハードルが高ければ硬性憲法

      硬性憲法

      普通の法律に比較して強い形式的効力をもち、改正に際しては特に慎重な改正手続を必要とする憲法。

      軟性憲法

      通常の法律と同じ手続で改正される憲法。イギリス、ニュージーランド、イスラエルの憲法が該当する。


    2. 正しい さらに実質的憲法は固有の意味の憲法と立憲的意味の憲法に分類される。またイギリス憲法は実質的憲法であるが不成文憲法である。

      固有の意味の憲法

      国家の統治の基本などを定めだ法

      立憲的意味の憲法

      国家権力を制約することで国民の自由を保障する考えを定めた法


    3. 誤り 憲法尊重擁護義務(憲法99条)を国民に定めた規定は存在しない。

      憲法99条

      天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


    4. 誤り 砂川事件の判例において最高裁は憲法優位説を支持した。

      砂川事件 最大判昭34年12月16日

      条約を締結した内閣およびこれを承認した国会の高度の政治的ないし自由裁量的判断と表裏をなす点がすくなくない。それ故、右違憲なりや否やの法的判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、従つて、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものであつて、それは第一次的には、右条約の締結権を有する内閣およびこれに対して承認権を有する国会の判断に従うべく、終局的には、主権を有する国民の政治的批判に委ねらるべきものであると解するを相当とする。


    5. 誤り 憲法前文にも法規範性がある。

      日本国憲法前文に関する基礎的資料 最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員会

      前文を有する憲法は少なくないが、その内容は国によって大きく異なる。①憲法制定の由来、②その趣旨・目的を謳うものもあれば、さらに③憲法の基本原則や理想を宣言するものもある。形式も、短いもの長文のもの、まちまちである。法的性質も一律には論じられない。
      日本国憲法前文は、③の類型の典型であり、近代憲法に内在する価値ないしその進化を支配してきた原理を確認しつつ、制憲意思を表明し憲法の基本原理の明らかにしている点、および憲法典の一部を成し法規範性を具えている点で、きわめて注目に値する。


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