行政書士試験過去問 一問一答トレーニング vol.55

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行政書士過去問 令和元年問32

問題

建物が転貸された場合における賃貸人(建物の所有者)、賃借人(転貸人)および転借人の法律関係に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

    1. 賃貸人の承諾がある転貸において、賃貸人が当該建物を転借人に譲渡し、賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰属したときであっても、賃借人と転借人間に転貸借関係を消滅させる特別の合意がない限り、転貸借関係は当然には消滅しない。
    2. 賃貸人の承諾がある転貸において、賃借人による賃料の不払があったときは、賃貸人は、賃借人および転借人に対してその支払につき催告しなければ、原賃貸借を解除することができない。
    3. 賃貸人の承諾がある転貸であっても、これにより賃貸人と転借人間に賃貸借契約が成立するわけではないので、賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することはできない。
    4. 無断転貸であっても、賃借人と転借人間においては転貸借は有効であるので、原賃貸借を解除しなければ、賃貸人は、転借人に対して所有権に基づく建物の明渡しを請求することはできない。
    5. 無断転貸において、賃貸人が転借人に建物の明渡しを請求したときは、転借人は建物を使用収益できなくなるおそれがあるので、賃借人が転借人に相当の担保を提供していない限り、転借人は、賃借人に対して転貸借の賃料の支払を拒絶できる。

解説

 

    1. 妥当である 判示の通りである。

      家屋明渡並びに損害賠償請求 最判昭和35年6月23日

      家屋の所有権者たる賃貸人の地位と転借人たる地位とが同一人に帰した場合は民法六一三条一項の規定による転借人の賃貸人に対する直接の義務が混同により消滅するは別論として、当事者間に転貸借関係を消滅させる特別の合意が成立しない限りは転貸借関係は当然には消滅しないものと解するを相当とする。


    2. 妥当ではない 転借人に対しての催告は不要である。

      建物収去土地明渡請求 最判昭和37年3月29日

      所論転貸借の基本である訴外Dと亡Eとの間の賃貸借契約は、同人の賃料延滞を理由として、催告の手続を経て、昭和三〇年七月四日解除された事実を確定し、かかる場合には、賃貸人は賃借人に対して催告するをもつて足り、さらに転借人に対してその支払いの機会を与えなければならないというものではなく、また賃借人に対する催告期間がたとえ三日間であつたとしても、これをもつて直ちに不当とすべきではないとして、上告人の権利濫用、信義則違反等の抗弁を排斥した原判決は、その確定した事実関係及び事情の下において正当といわざるを得ない。


    3. 妥当ではない 賃貸人は転借人にたいして直接賃料の支払い請求ができる。

      民法613条

      1項 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。


    4. 妥当ではない 無断転貸借の場合は原賃貸借を解除しなくとも、賃貸人は、転借人に対して所有権に基づく建物の明渡しを請求することができる。

      家屋明渡請求 最判昭和26年5月31日

      賃借人が賃貸人の承諾なくして賃借権を譲渡し又は賃借物を転貸し、よつて第三者をして賃借物の使用又は収益を為さしめた場合には賃貸人は賃借人に対して基本である賃貸借契約までも解除することを得るものとしたに過ぎないのであつて、所論のように賃貸人が同条項により賃貸借契約を解除するまでは賃貸人の承諾を得ずしてなされた賃借権の譲渡叉は転貸を有効とする旨を規定したものでないことは多言を要しないところである。


    5. 妥当である 明渡請求を受けた以後は転借人は賃貸人に対する賃料の支払いを拒絶できる。

      建物明渡請求 最判昭和50年4月25日

      所有権ないし賃貸権限を有しない者から不動産を貸借した者は、その不動産につき権利を有する者から右権利を主張され不動産の明渡を求められた場合には、貸借不動産を使用収益する権原を主張することができなくなるおそれが生じたものとして、民法五五九条で準用する同法五七六条により、右明渡請求を受けた以後は、賃貸人に対する賃料の支払を拒絶することができるものと解するのが相当である。

 


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