行政書士試験過去問 一問一答トレーニング vol.54

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行政書士過去問 平成29年問33

問題

Aは自己所有の甲機械(以下「甲」という。)をBに賃貸し(以下、これを「本件賃貸借契約」という。)、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

    1. Bは、本件賃貸借契約において、Aの負担に属するとされる甲の修理費用について直ちに償還請求することができる旨の特約がない限り、契約終了時でなければ、Aに対して償還を求めることはできない。
    2. CがBに対して甲を返還しようとしたところ、Bから修理代金の提供がなかったため、Cは甲を保管することとした。Cが甲を留置している間は留置権の行使が認められるため、修理代金債権に関する消滅時効は進行しない。
    3. CはBに対して甲を返還したが、Bが修理代金を支払わない場合、Cは、Bが占有する甲につき、動産保存の先取特権を行使することができる。
    4. CはBに対して甲を返還したが、Bは修理代金を支払わないまま無資力となり、本件賃貸借契約が解除されたことにより甲はAに返還された。本件賃貸借契約において、甲の修理費用をBの負担とする旨の特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合、CはAに対して、事務管理に基づいて修理費用相当額の支払を求めることができる。
    5. CはBに対して甲を返還したが、Bは修理代金を支払わないまま無資力となり、本件賃貸借契約が解除されたことにより甲はAに返還された。本件賃貸借契約において、甲の修理費用をBの負担とする旨の特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合、CはAに対して、不当利得に基づいて修理費用相当額の支払を求めることはできない。

解説

 

    1. 誤り 民法608条1項に規定されている通り、賃借人は賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人して直ちにその償還を請求することができる。

      民法608条

      1項 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
      2項 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項(占有者による費用の償還請求)の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。


    2. 誤り 民法300条に規定されているとおり、留置権の行使によって債権の消滅時効の進行は止まらない。

      民法300条

      留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。


    3. 誤り 民法303条の通り、A所有の甲動産に対してCは先取特権を行使することはできない。

      民法303条

      先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

      民法320条

      動産の保存の先取特権は、動産の保存のために要した費用又は動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その動産について存在する。


    4. 誤り 本問は事務管理のケースではないため、事務管理に基づく修理費用相当額の支払を求めることは出来ない。

      民法697条

      1項 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
      2項 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。


    5. 正しい 甲の修理費用をBの負担とする旨の特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合なので、本件修理を受けることは対価なしで受けているとは言えない。そのためCはAに対して、不当利得に基づいて修理費用相当額の支払を求めることはできない。

      ブルトーザー事件 最判平成7年9月19日

      甲が建物賃借人乙との間の請負契約に基づき右建物の修繕工事をしたところ、その後乙が無資力になったため、甲の乙に対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者丙が法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、丙と乙との間の賃貸借契約を全体としてみて、丙が対価関係なしに右利益を受けたときに限られるものと解するのが相当である。

 


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