行政書士過去問 一問一答トレーニング vol.45

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行政書士過去問 平成30年問21

問題

道路用地の収用に係る損失補償に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. 土地を収用することによって土地所有者が受ける損失は、当該道路を設置する起業者に代わり、収用裁決を行った収用委員会が所属する都道府県がこれを補償しなければならない。
    2. 収用対象となる土地が当該道路に関する都市計画決定によって建築制限を受けている場合、当該土地の権利に対する補償の額は、近傍において同様の建築制限を受けている類地の取引価格を考慮して算定した価格に物価変動に応ずる修正率を乗じて得た額となる。
    3. 収用対象の土地で商店が営まれている場合、商店の建築物の移転に要する費用は補償の対象となるが、その移転に伴う営業上の損失は補償の対象とはならない。
    4. 収用対象とはなっていない土地について、隣地の収用によって必要となった盛土・切土に要する費用は損失補償の対象になるが、それにより通路・溝等の工作物が必要となったときは、当該工作物の新築に係る費用は補償の対象とはならない。
    5. 収用対象の土地の所有者が収用委員会による裁決について不服を有する場合であって、不服の内容が損失の補償に関するものであるときは、土地所有者が提起すべき訴訟は当事者訴訟になる。

 

解説

 

    1. 誤り 土地を収用することによって土地所有者が受ける損失は、当該道路を設置する起業者が保障しなければならない。

      土地収用法68条

      土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者及び関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければならない。


    2. 誤り 建築制限の存在しない土地の収用については土地収用法71条の規定の通りであるが、建築制限の存する土地の収用にあたっては、被収用地が、建築制限を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格をいうと解すべきである。

      土地収用法71条

      収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。

      土地収用法72条

      前条の規定は、使用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額について準用する。この場合において、同条中「近傍類地の取引価格」とあるのは、「その土地及び近傍類地の地代及び借賃」と読み替えるものとする。

      最判昭48年10月18日

      被収用者に対し土地収用法七二条によつて補償すべき相当な価格とは、被収用地が、右のような建築制限
      を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格をいうと解すべきである。(中略)建築制限の存する土地の収用による損失を決定するにあたり、当該土地をかかる建築制限を受けた土地として評価算定すれば足りると解するのは、前記土地収用法の規定の立法趣旨に反し、被収用者に対し不当に低い額の補償を強いることになるのみならず、右土地の近傍にある土地の所有者に比しても著しく不平等な結果を招くことになり、到底許されないものというべきである。


    3. 誤り 土地収用法88条に定めるとおり、営業上の損失についても保証の対象となる。

      土地収用法88条

      第七十一条、第七十二条、第七十四条、第七十五条、第七十七条、第八十条及び第八十条の二に規定する損失の補償の外、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。


    4. 誤り 収用対象とはなっていない土地は残地が判断することにより、土地収用法75条、93条1項より通路・溝等の工作物に要する費用も保証の対象となると考えられる。よって誤りの選択肢である。

      土地収用法75条

      同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することに因つて、残地に通路、みぞ、かき、さくその他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償しなければならない。

      土地収用法93条1項

      土地を収用し、又は使用(第百二十二条第一項又は第百二十三条第一項の規定によつて使用する場合を含む。)して、その土地を事業の用に供することにより、当該土地及び残地以外の土地について、通路、溝、垣、さくその他の工作物を新築し、改築し、増築し、若しくは修繕し、又は盛土若しくは切土をする必要があると認められるときは、起業者は、これらの工事をすることを必要とする者の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、起業者又は当該工事をすることを必要とする者は、補償金の全部又は一部に代えて、起業者が当該工事を行うことを要求することができる。


    5. 正しい 土地収用法133条および行政事件訴訟4条から土地所有者が提起すべき訴訟は当事者訴訟になる。

      土地収用法133条

      2項 収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、裁決書の正本の送達を受けた日から六月以内に提起しなければならない。
      3項 前項の規定による訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならない

      行政事件訴訟法4条

      この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。

 


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