【公務員・行政書士試験受験者】憲法法一問一答トレーニング6題目
憲法法一問一答
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参考過去問:司法書士試験 令和2年度 午前の部 問1
表現の自由に関する次の記述を判例の趣旨に照らし正誤判断してください。
公務員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及び敷地に管理権者の意思に反して立ち入ることは、それが政治的意見を記載したビラの配布という表現の自由の行使のためであっても許されず、当該立入り行為を刑法上の罪に問うことは、憲法第21条第1項に違反するものではない。
▽白文字で解答があります▽
正しい 下記判示の通り。
最判平成20年4月11日 住居侵入被告事件
本件で被告人らが立ち入った場所は,防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり,自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので,一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても,このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは,管理権者の管理権を侵害するのみならず,そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。したがって,本件被告人らの行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは,憲法21条1項に違反するものではない。
表現の自由に関する次の記述を判例の趣旨に照らし正誤判断してください。
著しく性的感情を刺激し、又は著しく残忍性を助長するため、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる図書について、自動販売機への収納を禁止し、処罰する条例の規制は、成人に対する関係では、表現の自由に対する必要やむを得ない制約とはいえないものとして、憲法第21条第1項に違反する。
▽白文字で解答があります▽
誤り 下記判示の通り、有害図書の自動販売機への収納の禁止は、青少年に対する関係において、憲法二一条一項に違反しない。
最判平成元年9月19日 岐阜県青少年保護育成条例違反
本条例の定めるような有害図書が一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼし、性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長につながるものであつて、青少年の健全な育成に有害であることは、既に社会共通の認識になつているといってよい。さらに、自動販売機による有害図書の販売は、売手と対面しないため心理的に購入が容易であること、昼夜を問わず購入ができること、収納された有害図書が街頭にさらされているため購入意欲を刺激し易いことなどの点において、書店等における販売よりもその弊害が一段と大きいといわざるをえない。しかも、自動販売機業者において、前記審議会の意見聴取を経て有害図書としての指定がされるまでの間に当該図書の販売を済ませることが可能であり、このような脱法的行為に有効に対処するためには、本条例六条二項による指定方式も必要性があり、かつ、合理的であるというべきである。そうすると、有害図書の自動販売機への収納の禁止は、青少年に対する関係において、憲法二一条一項に違反しないことはもとより、成人に対する関係においても、有害図書の流通を幾分制約することにはなるものの、青少年の健全な育成を阻害する有害環境を浄化するための規制に伴う必要やむをえない制約であるから、憲法二一条一項に違反するものではない。
表現の自由に関する次の記述を判例の趣旨に照らし正誤判断してください。
様々な意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するためにする筆記行為の自由は、憲法第21条第1項の規定によって直接保障されている表現の自由そのものとは異なるものであるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない。
▽白文字で解答があります▽
正しい 下記判示の通り。
最大判平成元年3月8日 メモ採取不許可国家賠償請求事件
もつとも、情報等の摂取を補助するためにする筆記行為の自由といえども、他者の人権と衝突する場合にはそれとの調整を図る上において、又はこれに優越する公共の利益が存在する場合にはそれを確保する必要から、一定の合理的制限を受けることがあることはやむを得ないところである。しかも、右の筆記行為の自由は、憲法二一条一項の規定によつて直接保障されている表現の自由そのものとは異なるものであるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではないというべきである。
表現の自由に関する次の記述を判例の趣旨に照らし正誤判断してください。
集会の用に供される公共施設につき、公の秩序を乱すおそれがある場合には使用を許可してはならないとする条例の規制は、「公の秩序を乱すおそれがある場合」について、集会の自由を保障することの重要性よりも、集会の開催により人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解釈し、その危険の程度としては、明らかな差し迫った危険が発生することが具体的に予見されることが必要であると解する限り、憲法第21条第1項に違反するものではない。
▽白文字で解答があります▽
正しい 下記判示の通り。
最判平成7年3月7日 損害賠償
本件条例七条一号は、「公の秩序をみだすおそれがある場合」を本件会館の使用を許可してはならない事由として規定しているが、同号は、広義の表現を採っているとはいえ、右のような趣旨からして、本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、本件会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、前記各大法廷判決の趣旨によれば、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するのが相当である(最高裁昭和二六年(あ)第三一八八号同二九年一一月二四日大法廷判決・刑集八巻一一号一八六六頁参照)。そう解する限り、このような規制は、他の基本的人権に対する侵害を回避し、防止するために必要かつ合理的なものとして、憲法二一条に違反するものではなく、また、地方自治法二四四条に違反するものでもないというべきである。
表現の自由に関する次の記述を判例の趣旨に照らし正誤判断してください。
一定の記事を掲載した雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、憲法第21条第2項前段が絶対的に禁止する検閲に該当するものであり、許されない。
▽白文字で解答があります▽
誤り 下記判示の通り。
最大判昭和61年6月11日 損害賠償
一定の記事を掲載した雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、裁判の形式によるとはいえ、口頭弁論ないし債務者の審尋を必要的とせず、立証についても疎明で足りるとされているなど簡略な手続によるものであり、また、いわゆる満足的仮処分として争いのある権利関係を暫定的に規律するものであつて、非訟的な要素を有することを否定することはできないが、仮処分による事前差止めは、表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制が行政機関によりそれ自体を目的として行われる場合とは異なり、個別的な私人間の紛争について、司法裁判所により、当事者の申請に基づき差止請求権等の私法上の被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して発せられるものであつて、右判示にいう「検閲」には当たらないものというべきである。
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