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民法一問一答

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参考過去問:司法書士過去問 令和2年度 午前の部 問10

A、B及びCが各3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合の法律関係に関する次の記述を判例の趣旨に照らして正誤を判断してください。

甲土地につき、無権利のDが自己名義への所有権の移転の登記をした場合には、Aは、単独で、Dに対し、その所有権の移転の登記の抹消登記手続を求めることができる。

 

▽白文字で解答があります▽

正しい 下記判示の通り。

最判平成15年7月11日 持分全部移転登記抹消登記手続等請求事件

不動産の共有者の1人は,その持分権に基づき,共有不動産に対して加えられた妨害を排除することができるところ,不実の持分移転登記がされている場合には,その登記によって共有不動産に対する妨害状態が生じているということができるから,共有不動産について全く実体上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者に対し,単独でその持分移転登記の抹消登記手続を請求することができる

 

 


A、B及びCが各3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合の法律関係に関する次の記述を判例の趣旨に照らして正誤を判断してください。

Cが自己の持分をEに譲渡したが、その旨の登記がされず、A及びBがEの持分の取得を争っている場合において、Eが甲土地につき共有物分割の訴えを提起したときは、裁判所は、共有者がA,B及びEであることを認定して共有物の分割を命ずることができる。

 

▽白文字で解答があります▽

誤り 下記判示の通り譲渡人(C)に帰属するものとして共有分割をなすべきものである。

最判昭和46年6月18日 共有物分割請求

不動産の共有者の一員が自己の持分を譲渡した場合における譲受人以外の他の共有者は民法一七七条にいう「第三者」に該当するから、右譲渡につき登記が存しないときには、譲受人は、右持分の取得をもつて他の共有者に対抗することができない。そして、共有物分割の訴は、共有者間の権利関係をその全員について画一的に創設する訴であるから、持分譲渡があつても、これをもつて他の共有者に対抗できないときには、共有者全員に対する関係において、右持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割をなすべきものである

 

 


A、B及びCが各3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合の法律関係に関する次の記述を判例の趣旨に照らして正誤を判断してください。

Aが自己の持分を放棄した場合には、その持分は国庫に帰属する。

 

▽白文字で解答があります▽

誤り 民法255条に規定されている通り、その持分は、他の共有者に帰属する。 

民法239条(無主物の帰属)

1項 所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
2項 所有者のない不動産は、国庫に帰属する。

民法255条(持分の放棄及び共有者の死亡)

共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

 

 

 


A、B及びCが各3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合の法律関係に関する次の記述を判例の趣旨に照らして正誤を判断してください。

Aが死亡し、F及びGが相続をした場合には、B及びCは、Aの遺産についての遺産分割がされる前であっても、F及びGに対して共有物分割の訴えを提起することができる。

 

▽白文字で解答があります▽

正しい 下記判示の通り。

最判平成25年11月29日 共有物分割等請求事件

共有物について,遺産分割前の遺産共有の状態にある共有持分(以下「遺産共有持分」といい,これを有する者を「遺産共有持分権者」という。)と他の共有持分とが併存する場合,共有者(遺産共有持分権者を含む。)が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり,共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり,この財産の共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきものと解するのが相当である

民法258条(裁判による共有物の分割)

1項 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2項 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

 

 


A、B及びCが各3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合の法律関係に関する次の記述を判例の趣旨に照らして正誤を判断してください。

AがB及びCに無断で甲土地を占有している場合には、Bは、Aに対し、自己に甲土地を明け渡すように求めることができる。

 

▽白文字で解答があります▽

誤り 下記判示の通り、共有物を現に占有する少数持分権者に対し、当然にその明渡を請求することができるものではない。

最判昭和41年5月19日 土地所有権確認等請求および反訴請求

共同相続に基づく共有者の一人であつて、その持分の価格が共有物の価格の過半数に満たない者(以下単に少数持分権者という)は、他の共有者の協議を経ないで当然に共有物(本件建物)を単独で占有する権原を有するものでないことは、原判決の説示するとおりであるが、他方、他のすべての相続人らがその共有持分を合計すると、その価格が共有物の価格の過半数をこえるからといつて(以下このような共有持分権者を多数持分権者という)、共有物を現に占有する前記少数持分権者に対し、当然にその明渡を請求することができるものではない。けだし、このような場合、右の少数持分権者は自己の持分によつて、共有物を使用収益する権原を有し、これに基づいて共有物を占有するものと認められるからである。従つて、この場合、多数持分権者が少数持分権者に対して共有物の明渡を求めることができるためには、その明渡を求める理由を主張し立証しなければならないのである。

 

 

 

 





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