行政書士試験 過去問トレーニング vol.196

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行政書士過去問 平成26年問18

問題

狭義の訴えの利益に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

    1. 都市計画法に基づく開発許可の取消しを求める利益は、開発行為に関する工事の完了によっても失われない。
    2. 市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める利益は、原告らに係る保育の実施期間がすべて満了したとしても失われない。
    3. 公文書の非公開決定の取消しを求める利益は、当該公文書が裁判所に書証として提出された場合でも失われない。
    4. 土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益は、明渡しに関わる代執行の完了によっても失われない。
    5. 衆議院議員選挙を無効とすることを求める利益は、その後に衆議院が解散され、当該選挙の効力が将来に向かって失われたときでも失われない。




解説

 

    1. 妥当でない 開発行為に関する工事の完了によって許可の取消しを求める訴えの利益は失われる。 

      開発許可処分等取消 最判平成5年9月10日

      開発行為に関する工事が完了し、検査済証の交付もされた後においては、開発許可が有する前記のようなその本来の効果は既に消滅しており、他にその取消しを求める法律上の利益を基礎付ける理由も存しないことになるから、開発許可の取消しを求める訴えは、その利益を欠くに至るものといわざるを得ない。

       


       

    2. 妥当でない 原告らに係る保育の実施期間がすべて満了したとしても失われる。

      横浜市立保育園廃止処分取消請求事件 最判平成21年11月26日 

      上告人らに係る保育の実施期間がすべて満了していることが明らかであるから,本件改正条例の制定行為の取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。

       


       

    3. 妥当である 下記判示の通り。

      交際費等非公開決定処分取消請求事件 最判平成14年2月28日

      公開請求権者は,本件条例に基づき公文書の公開を請求して,所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し,又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから,請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても,当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではない

       


       

    4. 妥当でない 土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益は、明渡しに関わる代執行の完了によっても失われる。

       土地収用裁決取消等請求事件 最判平成5年2月25日

      明渡裁決は,裁決時における土地等の占有者に対し,裁決で定められた明渡しの期限までに土地等の引渡し又は物件の移転をするという作為義務を課すものにすぎず,明渡後における起業者による土地等の占有,使用を受忍する義務をも課しているものではなく,いったん土地等の明渡しが完了すれば明渡裁決の効果としての土地等の占有者の作為義務はもはや存続していないから,明渡裁決の対象となった土地等について代執行による引渡し等が完了した後は,同裁決の取消しを求める訴えの利益は失われる。

       


       

    5. 妥当でない 衆議院が解散され、当該選挙の効力が将来に向かって失われたときでも失われる。

      選挙無効請求事件 最判平成17年9月27日

      衆議院が解散されたことは公知の事実であり,解散によって本件選挙の効力は将来に向かって失われたものと解すべきであるから,本件訴えについては,訴えの利益が失われたというべきである。

 






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