行政書士試験 過去問トレーニング vol.187

行政書士過去問一問一答

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行政書士過去問 平成26年問7

問題

法令相互の関係に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

    1. 刑罰の制定には法律の根拠が必要であるから、条例で罰則を定めるためには、その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。
    2. 国会による条約の承認には、予算と同様の衆議院の優越が適用され、法律の議決の方がより厳格な手続を要するので、条約の国内法的効力は、法律に劣る。
    3. 法律の委任がなければ、政令によって国民に義務を課し、もしくはその権利を制限することはできないが、緊急の必要がある場合、国会の事後の承認を条件に、そのような定めを政令で行うことは、必ずしも違憲とはいえない。
    4. 最高裁判所は、裁判所の内部規律・司法事務処理に関し規則を制定することができるが、訴訟手続や弁護士に関する定めは法律事項であるから、規則で定めることはできない。
    5. 憲法は両議院に対し自律権を認め、議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を伴与しているが、国会法は、両議院と政府等の関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定している。




解説

 

    1. 妥当ではない 条例によつて刑罰を定める場合には、法律による個別具体的な授権ではなく、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりるとされる。

      最大判昭和37年5月30日 大阪市条例第六八号違反

      条例は、法律以下の法令といつても、上述のように、公選の議員をもつて組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であつて、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもつて組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例によつて刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。

       


       

    2. 妥当ではない 前半部分は憲法60、61条より妥当である。しかし、憲法73条に規定されている通り、国内で施行されている法律の下で国会承認を経て条約が締結されている事からも法律よりも条約が優先されることが妥当だと判断できる。また日本国は憲法98条より国際協調主義をとっているので、日本国が制定する法律が条約を誠実に遵守する事は妥当性があると判断できる。

      憲法60条

      1項 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
      2項 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

      憲法61条

      条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

      憲法73条

      内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
       一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
       二 外交関係を処理すること。
       三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
       四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
       五 予算を作成して国会に提出すること。
       六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
       七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

      憲法98条

      1項 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
      2項 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

       


    3. 妥当ではない 憲法73条6号に規定されている通り、緊急の必要がある場合だとしても、法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

      憲法73条

      内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
      一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
      二 外交関係を処理すること。
      三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
      四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
      五 予算を作成して国会に提出すること。
      六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
      七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。き行政庁及び再審査請求期間(第六十二条に規定する期間をいう。)を記載して、これらを教示しなければならない。

       


    4. 妥当ではない 憲法77条1項に規定されている通り、最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士に関する事項について規則を定める権限を有する。

      憲法77条

      1項 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
      2項 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
      3項 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

       


    5. 妥当である  憲法58条に規定されている通り憲法は両議院に自律権を認め、議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を伴与している。また国会法では両議院と政府等の関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定している。

      憲法58条

      1項 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
      2項 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

      国会法121条

      1項 各議院において懲罰事犯があるときは、議長は、先ずこれを懲罰委員会に付し審査させ、議院の議を経てこれを宣告する。
      2項 委員会において懲罰事犯があるときは、委員長は、これを議長に報告し処分を求めなければならない。
      3項 議員は、衆議院においては四十人以上、参議院においては二十人以上の賛成で懲罰の動議を提出することができる。この動議は、事犯があつた日から三日以内にこれを提出しなければならない。

       

 






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