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行政書士過去問 平成28年問27

問題

AのBに対する甲債権につき消滅時効が完成した場合における時効の援用権者に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているか判断してください。

    1. Aが甲債権の担保としてC所有の不動産に抵当権を有している場合、物上保証人Cは、Aに対して債務を負っていないが、甲債権が消滅すれば同不動産の処分を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することができる。
    2. 甲債権のために保証人となったDは、甲債権が消滅すればAに対して負っている債務を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することができる。
    3. Bの詐害行為によってB所有の不動産を取得したEは、甲債権が消滅すればAによる詐害行為取消権の行使を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。
    4. Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、Aの後順位抵当権者Fは、Aの抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当しないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。
    5. Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、同不動産をBから取得したGは、甲債権が消滅すれば抵当権の負担を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。

解説

 

    1. 正しい 民法145条に規定されている通り物上保証人も時効を援用することが出来る。

      民法145条(時効の援用)

      時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

       


       

    2. 正しい 民法145条に規定されている通り保証人も時効を援用することが出来る。 

      民法145条(時効の援用)

      時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。


       

    3. 誤り 下記判例の通り、本肢Eが時効を援用することが出来る場合もある。そのため消滅時効を援用することができないとする本肢はあやまり。

      最判平10年6月22日 所有権移転登記抹消登記手続

      詐害行為の受益者は、詐害行為取消権行使の直接の相手方とされている上、これが行使されると債権者との間で詐害行為が取り消され、同行為によって得ていた利益を失う関係にあり、その反面、詐害行為取消権を行使する債権者の債権が消滅すれば右の利益喪失を免れることができる地位にあるから、右債権者の債権の消滅によって直接利益を受ける者に当たり、右債権について消滅時効を援用することができるものと解するのが相当である。

       


       

    4. 正しい 下記判示の通り、後順位抵当権者Fは、Aの抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当しないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。 

      最判平11年10月21日 根抵当権抹消登記手続請求事件

      先順位抵当権の被担保債権が消滅すると、後順位抵当権者の抵当権の順位が上昇し、これによって被担保債権に対する配当額が増加することがあり得るが、この配当額の増加に対する期待は、抵当権の順位の上昇によってもたらされる反射的な利益にすぎないというべきである。

       


       

    5. 誤り 判例では抵当権が設定され、かつその登記の存する不動産の譲渡を受けた第三者は消滅時効を援用することが出来る判断している。

      最判昭48年12月14日 土地建物抵当権設定登記抹消登記手続請求

      抵当権が設定され、かつその登記の存する不動産の譲渡を受けた第三者は、当該抵当権の被担保債権が消滅すれば抵当権の消滅を主張しうる関係にあるから、抵当債権の消滅により直接利益を受ける者にあたると解するのが相当である

       

 


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