行政書士試験 過去問トレーニング vol.152

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行政書士過去問 平成29年問17

問題

許認可の申請拒否処分の取消訴訟に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

    1. 申請拒否処分の取消訴訟には、申請された許認可を命ずることを求める義務付け訴訟を併合提起できるが、当該申請拒否処分の取消訴訟のみを単独で提起することも許される。
    2. 申請拒否処分の取消訴訟を提起した者は、終局判決の確定まで、申請された許認可の効果を仮に発生させるため、当該申請拒否処分の効力の停止を申し立てることができる。
    3. 申請拒否処分の取消訴訟については、出訴期間の制限はなく、申請を拒否された者は、申請された許認可がなされない限り、当該申請拒否処分の取消訴訟を提起できる。
    4. 申請拒否処分の取消訴訟の係属中に当該申請拒否処分が職権で取り消され、許認可がなされた場合には、当該取消訴訟は訴えの利益を失い、請求は棄却されることとなる。
    5. 申請拒否処分の取消訴訟において、当該申請拒否処分の取消しの判決が確定した場合には、その判決の理由のいかんにかかわらず、処分庁は、再度、申請拒否処分をすることは許されない。

解説

 

    1. 正しい 義務付けの訴えは行政事件訴訟法37条の3 3項に規定されている通り、処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴えまたは、処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合提起しなければならいなが、申請拒否処分の取消訴訟のみを単独での提起を否定するものではない。

      行政事件訴訟法37条の3(義務付けの訴えの要件等)

      1項 第三条第六項第二号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
      1号 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
      2号 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。
      2項 前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。
      3項 第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第三十八条第一項において準用する第十二条の規定にかかわらず、その定めに従う。
      1号 第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
      2号 第一項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え

       


    2. 誤り 行政事件訴訟法25条2項に規定されている通り、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは申立てにより執行停止の可能であるが、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。

      行政事件訴訟法25条(執行停止) 抜粋

      1項 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
      2項 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
      3項 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
      4項 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。

       


    3. 誤り 行政事件訴訟法14条4に規定されている通り、取消訴訟にも出訴期間がある。

      行政事件訴訟法14条(出訴期間)

      1項 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
      2項 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
      3項 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

       


    4. 誤り 行政手続法9条をもとに考えると本肢の場合は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者が居なくなったと考えれることから、棄却ではなく却下が適切であるため。

      行政事件訴訟法9条(原告適格)抜粋

      1項 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

       


    5. 誤り 行政事件訴訟法33条1項に規定されている通り、取消判決は処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束するが、通説は別の理由をもってする申請拒否処分までも拘束するわけではないとしている。

      行政事件訴訟法33条

      1項 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
      2項 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。
      3項 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。
      4項 第一項の規定は、執行停止の決定に準用する

       

 


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