行政書士試験 過去問トレーニング vol.122

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行政書士過去問 令和元年問8

問題

行政上の義務の履行確保手段に関する次の記述のうち、法令および判例に照らし、正しいものはどれか。

    1. 即時強制とは、非常の場合または危険切迫の場合において、行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合に、個別の法律や条例の定めにより行われる簡易な義務履行確保手段をいう。
    2. 直接強制は、義務者の身体または財産に直接に実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものであり、代執行を補完するものとして、その手続が行政代執行法に規定されている。
    3. 行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は、「法律」により直接に命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られるが、ここにいう「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されているため、条例を根拠とする同種の義務の代執行については、別途、その根拠となる条例を定める必要がある。
    4. 行政上の秩序罰とは、行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰であるが、刑法上の罰ではないので、国の法律違反に対する秩序罰については、非訟事件手続法の定めるところにより、所定の裁判所によって科される。
    5. 道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合は、被通知者において、刑事手続で無罪を主張するか、当該納付通知の取消訴訟を提起するかのいずれかを選択することができる。

解説

 

    1. 誤り 即時強制とは緊急の必要がある場合にあらかじめ義務を課すことなく、国民の身体や財産に実力を行使して、行政上必要な状態を実現するものである。そのため、本肢にある行政上の義務を速やかに履行させることが不適当である。

    2. 誤り 直接強制とは義務の不履行に対し、直接、義務者の身体または財産に実力を加え、義務を履行する事を言う。ただし、旧性病予防法や学校施設の確保に関する政令21条のように例外的に個々の法令で認められるにとどまり、本肢のように代執行を補完するものとして、その手続が行政代執行法に規定されているわけではない。

    3. 誤り 行政代執行法2条に規定されている通り、行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は委任に基く命令、規則及び条例を含む。

      行政代執行法2条

      法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。

       


    4. 正しい 本肢の通りである。また非事件訴訟手続法119~122条に定めるところにより、所定の裁判所によって科される。

    5. 誤り 本肢の場合、行政事件訴訟法による取消訴訟は不適法とされている。

      行政処分取消 最判昭和57年7月15日

      道路交通法は、通告を受けた者が、その自由意思により、通告に係る反則金を納付し、これによる事案の終結の途を選んだときは、もはや当該通告の理由となつた反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、これに対する抗告訴訟によつてその効果の覆滅を図ることはこれを許さず、右のような主張をしようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたときにこれによつて開始された刑事手続の中でこれを争い、これについて裁判所の審判を求める途を選ぶべきであるとしているものと解するのが相当である。もしそうでなく、右のような抗告訴訟が許されるものとすると、本来刑事手続における審判対象として予定されている事項を行政訴訟手続で審判することとなり、また、刑事手続と行政訴訟手続との関係について複雑困難な問題を生ずるのであつて、同法がこのような結果を予想し、これを容認しているものとは到底考えられない。
       右の次第であるから、通告に対する行政事件訴訟法による取消訴訟は不適法というべきであり、これと趣旨を同じくする原審の判断は正当である。

       

 


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