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行政書士過去問 平成29年問14

問題

行政不服審査法の定める審査請求の対象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. 全ての行政庁の処分は、行政不服審査法または個別の法律に特別の定めがない限り、行政不服審査法に基づく審査請求の対象となる。
    2. 地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例または規則に置かれているものに限る。)についての審査請求には、当該地方公共団体の定める行政不服審査条例が適用され、行政不服審査法は適用されない。
    3. 地方公共団体は、自己に対する処分でその固有の資格において処分の相手方となるものに不服がある場合、行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ当該処分の取消訴訟を提起することができない。
    4. 行政指導の相手方は、当該行政指導が違法だと思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって当該行政指導の中止を求めることができる。
    5. 個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象とはならない。

解説

 

    1. 正しい。 行政不服審査法1条2項及び2条より正しい記述である。

      行政不服審査法1条

      1項 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
      2項 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下単に「処分」という。)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

      行政不服審査法2条

      行政庁の処分に不服がある者は、第四条及び第五条第二項の定めるところにより、審査請求をすることができる。


    2. 誤り 地方公共団体の機関がする処分は適用除外ではない。行政不服審査法7条1項の各号を参照

      行政不服審査法7条

      1項次に掲げる処分及びその不作為については、第二条及び第三条の規定は、適用しない。
      一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
      二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
      三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
      四 検査官会議で決すべきものとされている処分
      五 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
      六 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分
      七 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分
      八 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
      九 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分
      十 外国人の出入国又は帰化に関する処分
      十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
      十二 この法律に基づく処分(第五章第一節第一款の規定に基づく処分を除く。)


    3. 誤り 選択肢のケースでは行政不服審査法7条2項より行政不服審査法が適用されない。

      行政不服審査法7条

      2項 国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。


    4. 誤り 行政指導は原則として審査請求の対象とはならない。また行政指導は行政手続法36条の2に基づき中止を求める。

      行政手続法36条の2

      1項 法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。
      2項 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。
      一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
      二 当該行政指導の内容
      三 当該行政指導がその根拠とする法律の条項
      四 前号の条項に規定する要件
      五 当該行政指導が前号の要件に適合しないと思料する理由
      六 その他参考となる事項
      3項 当該行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと認めるときは、当該行政指導の中止その他必要な措置をとらなければならない。


    5. 誤り 再調査の請求を行うか審査請求を行うかは自由である。

      行政不服審査法5条

      1項 行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第二条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。
      2項 前項本文の規定により再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定を経た後でなければ、審査請求をすることができない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
      一 当該処分につき再調査の請求をした日(第六十一条において読み替えて準用する第二十三条の規定により不備を補正すべきことを命じられた場合にあっては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して三月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求につき決定をしない場合
      二 その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合


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