行政書士試験 過去問トレーニング vol.82

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行政書士過去問 平成28年問3

問題

次の文章は、最高裁判所判決の一節である。これを読んで空欄[ ア ]~[ ウ ]に正しい語を入れ、その上で、[ ア ]~[ ウ ]を含む文章として正しいものを、選びなさい。

最高裁判所裁判官任命に関する国民審査の制度はその実質において所謂[ ア ]の制度と見ることが出来る。それ故本来ならば[ イ ]を可とする投票が有権者の総数の過半数に達した場合に[ イ ]されるものとしてもよかったのである。それを憲法は投票数の過半数とした処が他の[ ア ]の制度と異るけれどもそのため[ ア ]の制度でないものとする趣旨と解することは出来ない。只[ イ ]を可とする投票数との比較の標準を投票の総数に採っただけのことであって、根本の性質はどこ迄も[ ア ]の制度である。このことは憲法第79条3項の規定にあらわれている。同条第2項の字句だけを見ると一見そうでない様にも見えるけれども、これを第3項の字句と照し会せて見ると、国民が[ イ ]すべきか否かを決定する趣旨であって、所論の様に[ ウ ]そのものを完成させるか否かを審査するものでないこと明瞭である。(最大判昭和27年2月20日民集6巻2号122頁)

 

    1. [ ア ]は、レファレンダムと呼ばれ、地方公共団体の首長などに対しても認められる。
    2. [ ア ]に入る語は罷免、[ ウ ]に入る語は任命である。
    3. 憲法によれば、公務員を[ ア ]し、およびこれを[ イ ]することは、国民固有の権利である。
    4. 憲法によれば、内閣総理大臣は、任意に国務大臣を[ ア ]することができる。
    5. 憲法によれば、国務大臣を[ ウ ]するのは、内閣総理大臣である。

解説

初めに最高裁判所裁判官任命に関する国民審査は解職の制度であると考える事が通説であり判例の立場である。

    1. 誤り [ ア ]には解職(リコール)が入るのが適切。またレファレンダムとは直接国民の投票によって決める制度のことである。日本の場合は国民投票や住民投票を指す。

    2. 誤り [ ア ]が解職であることから[ イ ]は罷免が適切である。

    3. 誤り [ ア ]が解職であるが、憲法15条1項と矛盾が生じるため誤りである。

      憲法15条

      1項 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
      2項 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
      3項 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
      4項 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。


    4. 誤り [ ア ]が解職であるが、憲法68条2項と矛盾が生じるため誤りである。

      憲法68条

      1項 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
      2項 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。


    5. 正しい [ ウ ]は任命と判断でき、憲法68条1項とも矛盾しない。

      憲法68条

      1項 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
      2項 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

【題材となった判例】最高裁判所裁判官国民審査の効力に関する異議 

最高裁判所裁判官任命に関する国民審査の制度はその実質において所謂解職の制度と見ることが出来る。それ故本来ならば罷免を可とする投票が有権者の総数の過半数に達した場合に罷免されるものとしてもよかつたのである。それを憲法は投票数の過半数とした処が他の解職の制度と異るけれどもそのため解職の制度でないものとする趣旨と解することは出来ない。只罷免を可とする投票数との比較の標準を投票の総数に採つただけのことであつて、根本の性質はどこ迄も解職の制度である。このことは憲法第七九条三項の規定にあらわれている、同条第二項の字句だけを見ると一見そうでない様にも見えるけれども、これを第三項の字句と照し会せて見ると、国民が罷免すべきか否かを決定する趣旨であつて、所論の様に任命そのものを完成させるか否かを審査するものでないこと明瞭である。

 

 


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