行政書士試験 過去問トレーニング vol.78

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行政書士過去問 平成28年問24

問題

地方財務に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

    1. 普通地方公共団体は、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができるが、起債前に財務大臣の許可を受けなければならない。
    2. 普通地方公共団体は、分担金、使用料、加入金および手数料を設ける場合、条例でこれを定めなければならない。
    3. 選挙権を有する普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体の条例の制定または改廃を請求する権利を有するが、地方税の賦課徴収に関する条例については、その制定または改廃を請求することはできない。
    4. 市町村が行う国民健康保険は、保険料を徴収する方式のものであっても、強制加入とされ、保険料が強制徴収され、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから、これについても租税法律主義の趣旨が及ぶと解すべきである。
    5. 地方税法の法定普通税の規定に反する内容の定めを条例に設けることによって当該規定の内容を実質的に変更することは、それが法定外普通税に関する条例であっても、地方税法の規定の趣旨、目的に反し、その効果を阻害する内容のものとして許されない。

解説

 

    1. 誤り 地方債の起債において財務大臣の許可を受けなければならない規定はない。

      地方財政法5条の3

      地方公共団体は、地方債を起こし、又は起こそうとし、若しくは起こした地方債の起債の方法、利率若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、政令で定めるところにより、総務大臣又は都道府県知事に協議しなければならない。ただし、軽微な場合その他の総務省令で定める場合は、この限りでない。


    2. 正しい 地方自治法228条1項に規定されている通り。

      地方自治法228条

      1項 分担金、使用料、加入金及び前条第一項の手数料に関する事項については条例で、同条第二項の手数料に関する事項については法律又はこれに基づく政令に定めるものを除くほか、規則でこれを定めなければならない。
      2項 詐偽その他不正の行為により、分担金、使用料、加入金又は前条第一項の手数料の徴収を免れた者については条例で、同条第二項の手数料の徴収を免れた者については規則で、その徴収を免れた金額の五倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる。
      3項 前項に定めるものを除くほか、分担金、使用料、加入金及び前条第一項の手数料の徴収に関しては条例で、同条第二項の手数料の徴収に関しては規則で五万円以下の過料を科する規定を設けることができる。


    3. 正しい 地方自治法74条1項に規定されている通り。

      地方自治法74条

      1項 普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(以下本編において「選挙権を有する者」という。)は、政令の定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。
      2項 前項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
      3項 普通地方公共団体の長は、第一項の請求を受理した日から二十日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。
      4項 第一項の選挙権を有する者とは、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第二十二条の規定による選挙人名簿の登録が行なわれた日において選挙人名簿に登録されている者とし、その総数の五十分の一の数は、当該普通地方公共団体の選挙管理委員会において、その登録が行なわれた日後直ちにこれを告示しなければならない。
      5項 第一項の場合において、当該地方公共団体の区域内で衆議院議員、参議院議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは長の選挙が行なわれることとなるときは、政令で定める期間、当該選挙が行なわれる区域内においては請求のための署名を求めることができない。
      6項 選挙権を有する者は、身体の故障又は文盲により条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に署名することができないときは、その者の属する市町村の選挙権を有する者(条例の制定又は改廃の請求者の代表者及び当該代表者の委任を受けて当該市町村の選挙権を有する者に対し当該署名簿に署名することを求める者を除く。)に委任して、自己の氏名(以下「請求者の氏名」という。)を当該署名簿に記載させることができる。この場合において、委任を受けた者による当該請求者の氏名の記載は、第一項の規定による請求者の署名とみなす。
      7項 前項の規定により委任を受けた者(以下「氏名代筆者」という。)が請求者の氏名を条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に記載する場合においては、氏名代筆者は、当該署名簿に氏名代筆者としての署名をしなければならない。


    4. 正しい 国民健康保険についても租税法律主義の趣旨が及ぶと解すべきであるとした。

      国民健康保険料賦課処分取消等請求事件 最大判平成18年3月1日

      市町村が行う国民健康保険は,保険料を徴収する方式のものであっても,強制加入とされ,保険料が強制徴収され,賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから,これについても憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきであるが,他方において,保険料の使途は,国民健康保険事業に要する費用に限定されているのであって,法81条の委任に基づき条例において賦課要件がどの程度明確に定められるべきかは,賦課徴収の強制の度合いのほか,社会保険としての国民健康保険の目的,特質等をも総合考慮して判断する必要がある。

      憲法84条

      あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。


    5. 正しい 判例の通り

      神奈川県臨時特例企業税通知処分取消等請求事件 最判平成25年3月21日

      法定普通税に関する条例において,地方税法の定める法定普通税についての強行規定の内容を変更することが同法に違反して許されないことはもとより,法定外普通税に関する条例において,同法の定める法定普通税についての強行規定に反する内容の定めを設けることによって当該規定の内容を実質的に変更することも,これと同様に,同法の規定の趣旨,目的に反し,その効果を阻害する内容のものとして許されないと解される。


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