行政書士過去問 一問一答トレーニング vol.49
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行政書士過去問 平成28年問34
問題
不法行為に基づく損害賠償に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。
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- 使用者Aが、その事業の執行につき行った被用者Bの加害行為について、Cに対して使用者責任に基づき損害賠償金の全額を支払った場合には、AはBに対してその全額を求償することができる。
- Dの飼育する猛犬がE社製の飼育檻から逃げ出して通行人Fに噛みつき怪我を負わせる事故が生じた場合において、Dが猛犬を相当の注意をもって管理をしたことを証明できなかったとしても、犬が逃げ出した原因がE社製の飼育檻の強度不足にあることを証明したときは、Dは、Fに対する損害賠償の責任を免れることができる。
- Gがその所有する庭に植栽した樹木が倒れて通行人Hに怪我を負わせる事故が生じた場合において、GがHに損害を賠償したときは、植栽工事を担当した請負業者Iの作業に瑕疵があったことが明らかな場合には、GはIに対して求償することができる。
- 運送業者Jの従業員Kが業務として運転するトラックとLの運転する自家用車が双方の過失により衝突して、通行人Mを受傷させ損害を与えた場合において、LがMに対して損害の全額を賠償したときは、Lは、Kがその過失割合に応じて負担すべき部分について、Jに対して求償することができる。
- タクシー会社Nの従業員Oが乗客Pを乗せて移動中に、Qの運転する自家用車と双方の過失により衝突して、Pを受傷させ損害を与えた場合において、NがPに対して損害の全額を賠償したときは、NはOに対して求償することはできるが、Qに求償することはできない。
選択肢
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- ア・イ
- ア・ウ
- イ・ウ
- ウ・エ
- エ・オ
解説
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- 誤り AはBに対して全額の求償ではなく、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求することができる。
最判昭和51年7月8日
使用者が、その事業の執行につきなされた被用者の加害行為により、直接損害を被り又は使用者としての損害賠償責任を負担したことに基づき損害を被つた場合には、使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができるものと解すべきである。
- 誤り 相当の注意をもって管理をしたことを証明できた場合は、責任を免れる場合がある。
民法718条
1項 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
2項 占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。
- 正しい 民法717条の規定の通り、植栽工事を担当した請負業者Iの作業に瑕疵があったことが明らかな場合はGはIに対して求償することができる。
民法717条
1項 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2項 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3項 前2項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
- 正しい 本肢のケースの場合は、Lは、Kがその過失割合に応じて負担すべき部分について、Jに対して求償することができるとした。
最判昭和63年7月1日
被用者がその使用者の事業の執行につき第三者との共同の不法行為により他人に損害を加えた場合において、右第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、右第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができるものと解するのが相当である。
- 誤り 本肢のケース場合はNはQに対して、過失の割合にしたがつて定められるべきQの負担部分求償することができる。
最判昭41年11月18日
被上告会社と上告人及び被上告人Bらは、Dに対して、各自、Dが蒙つた全損害を賠賞する義務を負うものというべきであり、また、右債務の弁済をした被上告会社は、上告人に対し、上告人と被上告人Bとの過失の割合にしたがつて定められるべき上告人の負担部分について求償権を行使することができるものと解するのが相当である。
- 誤り AはBに対して全額の求償ではなく、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求することができる。
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