行政書士過去問 一問一答トレーニング vol.37
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行政書士過去問 平成28年問30
問題
不動産先取特権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
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- 不動産の保存の先取特権は、保存行為を完了後、直ちに登記をしたときはその効力が保存され、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先する。
- 不動産工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。
- 不動産売買の先取特権は、売買契約と同時に、不動産の代価またはその利息の弁済がされていない旨を登記したときでも、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先しない。
- 債権者が不動産先取特権の登記をした後、債務者がその不動産を第三者に売却した場合、不動産先取特権者は、当該第三取得者に対して先取特権を行使することができる。
- 同一の不動産について不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が互いに競合する場合、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
解説
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- 正しい 民法337、339条の通り、直ちに登記をしたときは抵当権に先立って行使できる。
民法337条
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。
民法339条
前2条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。
- 正しい
民法327条1項
不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
民法327条2項
前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。
- 正しい 不動産売買の先取特権は民法340条に規定されているが、既存の抵当権に優先する規定は存在しない。そのため選択肢の説明は正しい。
民法340条
不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。
- 正しい 民法177条に規定している物件には先取特権もふくまれる。
民法177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
- 誤り 同一の不動産について不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が互いに競合する場合は、保存の先取特権が優先される。優先順位は保存の先取特権>工事の先取特権>売買の先取特権
民法306条 一般の先取特権
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一 共益の費用
二 雇用関係
三 葬式の費用
四 日用品の供給
優先順位は 共益の費用>雇用関係>葬式の費用>日用品の供給民法311条 動産の先取特権
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
一 不動産の賃貸借
二 旅館の宿泊
三 旅客又は荷物の運輸
四 動産の保存
五 動産の売買
六 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七 農業の労務
八 工業の労務
優先順位は 不動産の賃貸借、旅館の宿泊、旅客又は荷物の運輸>動産の保存>動産の売買、種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給、農業の労務、工業の労務民法325条 不動産の先取特権
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する。
一 不動産の保存
二 不動産の工事
三 不動産の売買
優先順位は 不動産の保存>不動産の工事>不動産の売買
- 正しい 民法337、339条の通り、直ちに登記をしたときは抵当権に先立って行使できる。