行政書士過去問 一問一答トレーニング vol.31

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行政書士過去問 平成29年問9

問題

行政処分の無効と取消しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

    1. 行政処分が無効である場合、当該処分はその成立当初から効力を認められないから、当該処分に対する取消訴訟を提起することはできない。
    2. 行政処分が無効である場合、行政不服審査法が定める審査請求期間にかかわらず、当該行政処分の審査請求をすることができる。
    3. 行政処分の職権取消しは、当該処分に対する相手方等の信頼を保護する見地から、取消訴訟の出訴期間内に行わなければならない。
    4. 行政処分が職権により取り消された場合、取消しの対象となった処分の効力は消滅するので、これを争う相手方は、当該処分の有効確認の訴えを提起しなければならない。
    5. 行政処分の違法を理由として国家賠償を請求するためには、その取消しまたは無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない。

 

解説

  1. 誤り 行政処分が無効である場合でも、取消訴訟は提起できる。

  2. 誤り 無効な行政行為であったとしても、行政不服審査法が定める審査請求期間にしか訴えを提起することはできない。

    行政不服審査法18条1項

    処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

    行政不服審査法18条2項

    処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。


  3. 誤り 

    最判昭和43年11月7日

    「当然無効と認められず、また、すでに法定の不服申立期間の徒過により争訟手続によつてその効力を争い得なくなつたものであつても、処分をした行政庁その他正当な権限を有する行政庁においては、自らその違法または不当を認めて、処分の取消によつて生ずる不利益と、取消をしないことによつてかかる処分に基づきすでに生じた効果をそのまま維持することの不利益とを比較考量し、しかも該処分を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当であると認められるときに限り、これを取り消すことができると解するのが相当である」


  4. 誤り 職権取消に対して取消訴訟を提起する事はできる。もっとも職権取消が行われた場合は、行政行為が行われてた時からさかのぼって効力が消滅する。そのため有効確認の訴えは適切ではない。

  5. 正しい 

    最判昭和36年4月21日

    「 行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではない

 


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