行政書士試験 過去問トレーニング vol.207

行政書士過去問一問一答

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行政書士過去問 平成25年問20

問題

国家賠償法に関する次のア~オの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

    1. 経済政策の決定の当否は裁判所の司法的判断には本質的に適しないから、経済政策ないし経済見通しの過誤を理由とする国家賠償法1条に基づく請求は、そもそも法律上の争訟に当たらず、不適法な訴えとして却下される。
    2. 税務署長が行った所得税の更正が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、国家賠償法1条1項の適用上違法とはされない。
    3. 刑事事件において無罪の判決が確定した以上、当該公訴の提起・追行は国家賠償法1条の適用上も直ちに違法と評価されるが、国家賠償請求が認容されるためには、担当検察官に過失があったか否かが別途問題となる。
    4. 自作農創設特別措置法に基づく買収計画が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ当該買収計画につき取消し又は無効確認の判決を得る必要はない。
    5. 違法な課税処分によって本来払うべきでない税金を支払った場合において、過納金相当額を損害とする国家賠償請求訴訟を提起したとしても、かかる訴えは課税処分の公定力や不可争力を実質的に否定することになるので棄却される。




解説

 

    1. 誤り 下記判示の通り

      最判昭和57年7月15日 庶民貯金減価損害賠償

      政府が経済政策を立案施行するにあたつては、物価の安定、完全雇用の維持、国際的収支の均衡及び適度な経済成長の維持の四つがその担当者において対応すべき政策目標をなすところ、(中略)各目標を調和的に実現するために政府においてその時々における内外の情勢のもとで具体的にいかなる措置をとるべきかは、事の性質上専ら政府の裁量的な政策判断に委ねられている事柄とみるべきものであつて、仮に政府においてその判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため右目標を達成することができず、又はこれに反する結果を招いたとしても、これについて政府の政治的責任が問われることがあるのは格別、法律上の義務違反ないし違法行為として国家賠償法上の損害賠償責任の問題を生ずるものとすることはできない。

       


       

    2. 正しい 下記判示の通り

      最判平成5年3月11日 損害賠償

      税務署長のする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法一条一項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、右の評価を受けるものと解するのが相当である。

       


       

    3. 誤り 下記判示の通り

      最判昭和53年10月20日 国家賠償

      刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となるということはない。けだし、逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められるかぎりは適法であり、公訴の提起は、検察官が裁判所に対して犯罪の成否、刑罰権の存否につき審判を求める意思表示にほかならないのであるから、起訴時あるいは公訴追行時における検察官の心証は、その性質上、判決時における裁判官の心証と異なり、起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当であるからである。

       


       

    4. 正しい 下記判示の通り。

      最判昭和36年4月21日 宅地買収不服、所有権確認請求

      行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではない

       


       

    5. 誤り 下記判示の通り。

      最判平成22年6月3日 損害賠償請求事件

      固定資産の価格の決定及びこれに基づく固定資産税等の賦課決定に無効事由が認められない場合であっても,公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは,これによって損害を被った当該納税者は,地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得るものと解すべきである。

       

 






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