民法一問一答 ~宅建士過去問解説令和2年10月問9~

民法一問一答

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参考過去問:宅建士過去問 令和2年10月問9

問題

Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述を民法の規定及び判例を基にして正誤を判断してください。

なお、これらの契約は、令和3年7月1日に締結され、担保責任に関する特約はないものとする。

①の契約において、Bが手付を交付し、履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をした場合、Aは、手付の倍額を現実に提供して契約の解除をすることができる。

 

▼白色テキストで答えがあります▼

誤り 民法557条に規定されている通り、相手方が契約の履行に着手した場合は、手付の倍額を現実に提供して契約の解除をすることできない。また履行期の到来後に代金支払の準備するこは履行に着手されていたものと認めるのが相当である。

民法557条(手付)

1項 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
2項 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。
上告会社が被上告人に対し昭和三七年四月二日本件手附倍額を提供して契約解除の意思表示をするまでの間に、被上告人が終始明渡の要求をなし残代金は即時でも支払い得る状態であつたことの原審認定は、原判決挙示の証拠関係に徴して肯認できる。被上告人に残代金支払の意思のなかつたことをいう所論は、原審認定にそわないことをいうにすぎない。
しかして、右認定の事実関係と昭和三五年二月二六日被上告人がやむなく本訴を提起して明渡要求をなしその訴状が同年三月三日上告会社に送達された事実関係から、本件売買契約は上告会社の前示契約解除の意思表示以前既に被上告人によつてその履行に着手されていたものと認めるのが相当であるとした原判決の判断は、首肯できる

▲白色テキストで答えがあります▲

 


Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述を民法の規定及び判例を基にして正誤を判断してください。

なお、これらの契約は、令和3年7月1日に締結され、担保責任に関する特約はないものとする。

②の契約が書面によらずになされた場合、Aは、甲建物の引渡し及び所有権移転登記の両方が終わるまでは、書面によらないことを理由に契約の解除をすることができる。

 

▼白色テキストで答えがあります▼

誤り 不動産の贈与契約において、当該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、当該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終つたものと解すべきである。民法550条のただし書きの通り、書面によらないことを理由に契約の解除を求めることは出来なくなる。

民法550条(書面によらない贈与の解除)

書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

最判昭40年3月26日 所有権移転登記抹消請求

不動産の贈与契約において、該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終つたものと解すべきであり、

▲白色テキストで答えがあります▲

 

 


Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述を民法の規定及び判例を基にして正誤を判断してください。

なお、これらの契約は、令和3年7月1日に締結され、担保責任に関する特約はないものとする。

②の契約については、Aは、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。

 

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正しい 民法551条2項に規定されている通り。

民法551条(贈与者の引渡義務等)

1項 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
2項 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。

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Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述を民法の規定及び判例を基にして正誤を判断してください。

なお、これらの契約は、令和3年7月1日に締結され、担保責任に関する特約はないものとする。

①の契約については、Bの債務不履行を理由としてAに解除権が発生する場合があるが、②の契約については、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生することはない。

 

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誤り 民法553条により双務契約の解除権に関する規定が準用されるため、②の契約については、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生する場合がある。

民法541条(催告による解除)

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

民法542条(催告によらない解除)

1項 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
 一 債務の全部の履行が不能であるとき。
 二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
 三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
 四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
 五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2項 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
 一 債務の一部の履行が不能であるとき。
 二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

民法553条(負担付贈与)

負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

 

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