行政書士試験 過去問トレーニング vol.65
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行政書士過去問 平成28年問25
問題
上水道の利用関係について、最高裁判所の判例に照らし、妥当な記述はどれか。
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- 市町村は、給水契約の申込みに応じる義務があるが、現に給水が可能であっても、将来において水不足が生じることが確実に予見される場合には、給水契約を拒むことも許される。
- マンションを建設しようとする者に対して市町村がその指導要綱に基づいて教育施設負担金の納付を求めることは、それが任意のものであっても違法であり、それに従わない者の給水契約を拒否することは、違法である。
- 市町村は、利用者について不当な差別的取扱いをすることは許されないから、別荘の給水契約者とそれ以外の給水契約者の基本料金に格差をつける条例の規定は、無効であり、両者を同一に取り扱わなければならない。
- 水道料金を値上げする市町村条例の改正がなされると、給水契約者は、個別の処分を経ることなく、値上げ後の水道料金を支払う義務を負うこととなるから、給水契約者は、当該条例改正の無効確認を求める抗告訴訟を提起することが許される。
- 水道料金を納付しない利用者に対する給水の停止措置は、市町村の条例を根拠とする公権力の行使であるから、これを民事訴訟で差し止めることは許されず、水道の給水停止の禁止を求める民事訴訟は不適法である。
解説
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- 妥当である
給水契約上の地位確認等 最判平成11年1月21日
このまま漫然と新規の給水申込みに応じていると、近い将来需要に応じきれなくなり深刻な水不足を生ずることが予測される状態にあるということができる。このようにひっ迫した状況の下においては、被上告人が、新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、住宅を供給する事業を営む者が住宅を分譲する目的であらかじめしたものについて契約の締結を拒むことにより、急激な水道水の需要の増加を抑制する施策を講ずることも、やむを得ない措置として許されるものというべきである。(中略)水道水の使用量を押さえる計画であることなどを考慮しても、被上告人がこれを拒んだことには法一五条一項にいう「正当の理由」があるものと認めるのが相当である。
- 妥当でない 任意なものであっても違法としている点が誤り
教育施設負担金返還 最判平成5年2月18日
指導要綱の文言及び運用の実態からすると、本件当時、被上告人は、事業主に対し、法が認めておらずしかもそれが実施された場合にはマンション建築の目的の達成が事実上不可能となる水道の給水契約の締結の拒否等の制裁措置を背景として、指導要綱を遵守させようとしていたというべきである。被上告人がFに対し指導要綱に基づいて教育施設負担金の納付を求めた行為も、被上告人の担当者が教育施設負担金の減免等の懇請に対し前例がないとして拒絶した態度とあいまって、Fに対し、指導要綱所定の教育施設負担金を納付しなければ、水道の給水契約の締結及び下水道の使用を拒絶されると考えさせるに十分なものであって、マンションを建築しようとする以上右行政指導に従うことを余儀なくさせるものであり、Fに教育施設負担金の納付を事実上強制しようとしたものということができる。指導要綱に基づく行政指導が、武蔵野市民の生活環境をいわゆる乱開発から守ることを目的とするものであり、多くの武蔵野市民の支持を受けていたことなどを考慮しても、右行為は、本来任意に寄付金の納付を求めるべき行政指導の限度を超えるものであり、違法な公権力の行使であるといわざるを得ない。
- 妥当でない 別荘の給水契約者とそれ以外の給水契約者の基本料金に格差をつける条例の規定が当然に無効になるわけではない。
給水条例無効確認等請求事件 最判平成18年7月14日
別荘給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基本料金よりも高額に設定すること自体は,水道事業者の裁量として許されないものではない。
- 妥当でない 本件改正条例の制定行為は,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない
給水条例無効確認等請求事件 最判平成18年7月14日
抗告訴訟の対象となる行政処分とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいうものである。本件改正条例は,旧高根町が営む簡易水道事業の水道料金を一般的に改定するものであって,そもそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく,本件改正条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから,本件改正条例の制定行為は,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないというべきである。
- 妥当でない 公権力の行使は否定されている。さらに下記に示すように判例おいては民事訴訟が提起できることを前提としている。
給水条例無効確認等請求事件 最判平成18年7月14日
本件改正条例のうち別荘給水契約者の基本料金を改定した部分は,地方自治法244条3項に違反するものとして無効というべきである。そうすると,憲法14条1項違反等の点について判断するまでもなく,被上告人らは別荘給水契約者に係る本件別表所定の基本料金と本件改正条例による改定前の基本料金との差額分について支払義務を負うものではないから,同差額分に関する未払水道料金の債務不存在確認及び支払済みの水道料金相当額の不当利得返還並びに被上告人らのうち未払水道料金がある者に対する簡易水道の給水停止の禁止を求める被上告人らの請求を認容した原審の判断は,結論において是認することができる。
- 妥当である
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