行政書士試験過去問 一問一答トレーニング vol.60
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行政書士過去問 平成29年問12
問題
処分理由の提示に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
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- 行政手続法が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接義務を課し、またはその権利を制限するという同処分の性質にかんがみたものであるから、行政手続法には、申請に対する拒否処分に関する理由の提示の定めはない。
- 一級建築士免許取消処分をするに際し、行政庁が行政手続法に基づいて提示した理由が不十分であったとしても、行政手続法には理由の提示が不十分であった場合の処分の効果に関する規定は置かれていないから、その違法により裁判所は当該処分を取り消すことはできない。
- 行政手続法は、不利益処分をする場合にはその名宛人に対し同時に当該不利益処分の理由を示さなければならないと定める一方、「当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合はこの限りでない。」としている。
- 青色申告について行政庁が行った更正処分における理由附記の不備という違法は、同処分に対する審査裁決において処分理由が明らかにされた場合には、治癒され、更正処分の取消事由とはならない。
- 情報公開条例に基づく公文書の非公開決定において、行政庁がその処分理由を通知している場合に、通知書に理由を附記した以上、行政庁が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することは許されない。
解説
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- 妥当でない 行政手続法8条1項に規定されてる通り、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は原則、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。
行政手続法8条
1項 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2項 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。
- 妥当でない 下記の判例のように、理由掲示が不十分であった場合、裁判所は当該処分を取り消すことがある。
一級建築士免許取消処分等取消請求事件 最判平成23年6月7日
このような本件の事情の下においては,行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし,同項本文の要求する理由提示としては十分でないといわなければならず,本件免許取消処分は,同項本文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるというべきであって,取消しを免れないものというべきである
- 妥当である
行政手続法14条
1項 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2項 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3項 不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。
- 妥当でない 審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても治癒されない。
法人税課税処分取消請求 最判昭和47年12月5日
審査裁決に理由が附記されたからといつて、更正を取り消すことが所論のように無意味かつ不必要なこととなるものではない。それゆえ、更正における附記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。
- 妥当でない 当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することはできる。
公文書一部公開拒否処分取消請求事件 最判平成11年11月19日
理由通知の定めが、右の趣旨を超えて、一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。
- 妥当でない 行政手続法8条1項に規定されてる通り、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は原則、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。
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