行政書士過去問 一問一答トレーニング vol.39
行政書士の過去問を一問一答の無料トレーニング公開中!
詳しくは下記リンクで!
行政書士過去問 平成28年問20
問題
A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。この事例につき、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当な記述はどれか
-
- Yの給与をA県が負担していても、Xは、A県に国家賠償を求めることはできず、B市に求めるべきこととなる。
- Xが外国籍である場合には、その国が当該国の国民に対して国家賠償を認めている場合にのみ、Xは、B市に国家賠償を求めることができる。
- B市がXに対して国家賠償をした場合には、B市は、Yに故意が認められなければ、Yに求償することはできない。
- B市がYの選任および監督について相当の注意をしていたとしても、Yの不法行為が認められれば、B市はXへの国家賠償責任を免れない。
- Xは、Yに過失が認められれば、B市に国家賠償を求めるのと並んで、Yに対して民法上の損害賠償を求めることができる。
解説
-
- 誤り 国家賠償法3条1項により、教師Yの給与をA県が負担している以上はA県に対しても国家賠償を求めることができる。
国家賠償法1条1項
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
国家賠償法3条1項
前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
- 誤り その国が当該国の国民に対して国家賠償を認めている場合ではなく、相互の保証があるとき
国家賠償法6条
この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。
- 誤り 重大な過失があっても求償権がある
国家賠償法2条1項
前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
- 正しい 国家賠償法においては、使用責任の免責(民法715条1項但し書き)などは規定されていない。
民法715条1項但し書き
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
- 誤り 公務員個人の責任を負うことは出来ないとしている。
最判昭和30年4月19日
損害賠償等を請求する訴について考えてみるに、右請求は、被上告人等の職務行為を理由とする国家賠償の請求と解すベきであるから、国または公共団体が賠償の責に任ずるのであつて、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではなく、また公務員個人もその責任を負うものではない。
- 誤り 国家賠償法3条1項により、教師Yの給与をA県が負担している以上はA県に対しても国家賠償を求めることができる。
行政書士の過去問を一問一答形式で無料公開しております。
詳しくは下記リンクで!