行政書士過去問 一問一答トレーニング vol.29 無効の行政行為

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行政書士過去問 平成29年問9

問題

無効の行政行為に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

    1. 無効の行政行為については、それを争う訴訟として無効確認訴訟が法定されており、その無効を実質的当事者訴訟や民事訴訟において主張することは許されない。
    2. 無効の行政行為については、それを取り消すことはできないから、たとえ出訴期間内であっても、それに対して提起された取消訴訟は不適法とされる。
    3. 無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。
    4. 無効の行政行為については、客観的に効力が認められないのであるから、その無効を主張する者は、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができる。
    5. 無効の行政行為については、その執行は認められず、これを何人も無視できるから、無効確認訴訟には、仮の救済のための執行停止制度の準用はなされていない。

 

解説

  1. 妥当ではない 実質的当事者訴訟や民事訴訟においても無効確認の訴えは提起できると最高裁は判示している。

    最判平成4年9月22日

    「処分の無効確認訴訟を提起し得るための要件の一つである、右の当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、当該処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味するものと解するのが相当である


  2. 妥当ではない 無効な行政行為だとしても取消訴訟・争点訴訟などを提起することができる。

    無効な行政行為

    無効な行政行為とは「重大かつ明白な瑕疵」があり公定力が有しない行政行為である。また取消訴訟・争点訴訟など争う場合であっても、出訴期間内はない。


  3. 妥当である 行政事件訴訟法8条1項に規定されている、「法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるとき」は無効確認の訴えには準用されない。したがって、選択肢の通り審査請求の前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。

    行政事件訴訟法8条1項

    「処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。 」

    行政事件訴訟法38条3項

    「第二十三条の二、第二十五条から第二十九条まで及び第三十二条第二項の規定は、無効等確認の訴えについて準用する。 」


  4. 誤り 無効確認の訴えは行政事件訴訟法36条に原告適格が定められており、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができるわけではない。

    行政事件訴訟法36条

    「無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。


  5. 誤り 行政事件訴訟法38条3項に規定されている通り、無効確認訴訟には執行停止制度(行政事件訴訟法25条2項)が準用されている。

    行政事件訴訟法25条2項

    「 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。

 


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