行政書士過去問トレーニング vol.16

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行政書士過去問 令和元年問26

問題

国公立学校をめぐる行政法上の問題に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

    1. 公立高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分または退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであり、裁判所がその処分の適否を審査するに当たっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきである。
    2. 公立中学校教員を同一市内の他の中学校に転任させる処分は、仮にそれが被処分者の法律上の地位に何ら不利益な変更を及ぼすものではないとしても、その名誉につき重大な損害が生じるおそれがある場合は、そのことを理由に当該処分の取消しを求める法律上の利益が認められる。
    3. 公立学校の儀式的行事における教育公務員としての職務の遂行の在り方に関し校長が教職員に対して発した職務命令は、教職員個人の身分や勤務条件に係る権利義務に直接影響を及ぼすものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。
    4. 国公立大学が専攻科修了の認定をしないことは、一般市民としての学生が国公立大学の利用を拒否することにほかならず、一般市民として有する公の施設を利用する権利を侵害するものであるから、専攻科修了の認定、不認定に関する争いは司法審査の対象となる。

 

選択肢

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ 

 

解説

    1. 妥当ではない
      • 最高裁判例(平成8年3月8日 )「高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分又は退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであり、裁判所がその処分の適否を審査するに当たっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきものではなく、校長の裁量権の行使としての処分が、全く事実の基礎を欠くか又は社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法であると判断すべきものである」
    2. 妥当ではない 
      • 最高裁判例(昭和61年10月23日)「本件転任処分は、E二中教諭として勤務していた被上告人らを同一市内の他の中学校数諭に補する旨配置換えを命じたものにすぎず、被上告人らの身分、俸給等に異動を生ぜしめるものでないことはもとより、客観的また実際的見地からみても、被上告人らの勤務場所、勤務内容等においてなんらの不利益を伴うものでないことは、原判決の判示するとおりであると認められる。したがつて、他に特段の事情の認められない本件においては、被上告人らについて本件転任処分の取消しを求める法律上の利益を肯認することはできないものといわなければならない。」
    3. 妥当である 
      • 最高裁判例(平成24年2月9日)「本件通達(入学式,卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達))は,行政組織の内部における上級行政機関である都教委から関係下級行政機関である都立学校の各校長に対する示達ないし命令にとどまり,それ自体によって教職員個人の権利義務を直接形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえないから,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないというべきである。」
    4. 妥当である 
      • 専攻科修了(一般市民法秩序と直接の関係を有するもの)の認定、不認定に関する争いは司法審査の対象、
      • 単位の認定(一般市民法秩序と直接の関係を有しない)、不認定に関する争いは司法審査の対象外
      • 最高裁判例(昭和52年3月15日)「単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであつて、裁判所の司法審査の対象にはならないものと解するのが、」

 


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