行政書士過去問トレーニング vol.14
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行政書士過去問 平成28年問18
問題
行政事件訴訟に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。
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- 地方税法に基づく固定資産税の賦課処分の取消訴訟を提起することなく、過納金相当額の国家賠償請求訴訟を提起することは、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られることになるため、認められない。
- 供託法に基づく供託金の取戻請求権は、供託に伴い法律上当然に発生するものであり、一般の私法上の債権と同様、譲渡、質権設定、仮差押等の目的とされるものであるから、その請求が供託官により却下された場合には、民事訴訟により争うべきである
- 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく発電用原子炉の設置許可の無効を主張する者は、その運転差止めを求める民事訴訟を提起できるからといって、当該許可処分の無効確認訴訟を提起できないわけではない。
- 国民年金法に基づく裁定の請求に対して年金支給をしない旨の決定が行われた場合、当該年金の裁定の請求者は、公法上の当事者訴訟によって、給付されるべき年金の請求を行うことができるが、年金支給をしない旨の決定の取消訴訟を提起することは認められない。
- 登録免許税を過大に納付した者は、そのことによって当然に還付請求権を取得し、その還付がなされないときは、還付金請求訴訟を提起することができるから、還付の請求に対してなされた拒否通知について、取消訴訟を提起することは認められない。
解説
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- 誤り 取消訴訟を提起することなく、過納金相当額の国家賠償請求訴訟を提起することはみとめられる。
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- 最高裁判例(平成22年6月3日)「 行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては,あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない(最高裁昭和35年(オ)第248号同36年4月21日第二小法廷判決・民集15巻4号850頁参照)。このことは,当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており,その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば,結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならないというべきである。」
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- 誤り 行政事件訴訟法3条2項に基づく訴えは適法であり、民事訴訟により争うべきとはしていない。
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- 最高裁判例(昭和45年7月15日)「 本件供託物取戻の請求を却下した処分に対し、被上告人が行政事件訴訟法三条二項に基づき上告人を被告として提起した本訴は適法というべきである。 」
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- 正しい 民事訴訟を提起できるからといって、当該許可処分の無効確認訴訟を提起できないわけではない。
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- 最高裁判例(平成4年9月22日)「 被上告人らは本件原子炉施設の設置者である動力炉・核燃料開発事業団に対し、人格権等に基づき本件原子炉の建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟を提起しているが、右民事訴訟は、行政事件訴訟法三六条にいう当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当するものとみることはできず、また、本件無効確認訴訟と比較して、本件設置許可処分に起因する本件紛争を解決するための争訟形態としてより直截的で適切なものであるともいえないから、被上告人らにおいて右民事訴訟の提起が可能であって現にこれを提起していることは、本件無効確認訴訟が同条所定の前記要件を欠くことの根拠とはなり得ない。 」
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- 誤り(難) 年金支給をしない旨の決定の取消訴訟を提起することは認められないとはしていない。どちらかというと否定をしていないので選択肢は言い過ぎと解釈するべき。
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- 最高裁判例(平成26年9月25日)「 本件供託物取戻の請求を却下した処分に対し、被上告人が行政事件訴訟法三条二項に基づき上告人を被告として提起した本訴は適法というべきである。 」
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- 誤り 還付の請求に対してなされた拒否通知について、取消訴訟を提起することは認められる。
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- 最高裁判例(昭和45年7月15日)「 拒否通知は,登記等を受けた者に対して上記の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。 」
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- 誤り 取消訴訟を提起することなく、過納金相当額の国家賠償請求訴訟を提起することはみとめられる。
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