行政書士試験 過去問トレーニング vol.155
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行政書士過去問 平成29年問26
問題
次の文章は、X県知事により行われる、ある行政処分に付される教示である。これに関する次のア~オの記述の妥当性を考えてください。
(教示)
この処分に不服があるときは、この処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月以内にX県知事に審査請求をすることができます(処分のあった日の翌日から起算して1年を経過した場合は除きます。)。
また、この処分に対する取消訴訟については、[ a ]を被告として、この処分のあったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して1年を経過した場合は除きます。)。ただし、処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に審査請求をした場合には、処分の取消訴訟は、その審査請求に対する裁決の送達を受けた日の翌日から起算して6か月以内に提起しなければなりません(裁決のあった日の翌日から起算して1年を経過した場合は除きます。)。
ア.この教示を怠っても、当該処分がそれを理由として取り消されることはない。
イ.空欄[ a ]に当てはまるものは、X県知事である。
ウ.この教示は、行政不服審査法と行政事件訴訟法に基づいて行われている。
エ.この教示が示す期間が過ぎた場合には、取消訴訟を提起することはできないが、正当な理由がある場合には、審査請求のみは許される。
オ.この教示は、審査請求の裁決を経てからでなければ、取消訴訟が提起できないことを示している。
解説
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- 妥当である 本肢の場合は不服申し立ての対象になるが、教示を怠ったことを理由として当該処分が取り消されることはない。
- 妥当ではない 行政事件訴訟法11条1項1号より被告はX県知事ではなく、X県である。
行政事件訴訟法11条(被告適格等)抜粋
1項 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
一号 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
二号 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
- 妥当である 行政不服審査法82条、行政事件訴訟法46条に規定されている通り。
行政不服審査法82条(不服申立てをすべき行政庁等の教示)抜粋
1項 行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」と総称する。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない
行政事件訴訟法46条(取消訴訟等の提起に関する事項の教示)抜粋
1項 行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分又は裁決をする場合には、当該処分又は裁決の相手方に対し、次に掲げる事項を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
一号 当該処分又は裁決に係る取消訴訟の被告とすべき者
二号 当該処分又は裁決に係る取消訴訟の出訴期間
三号 法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、その旨
- 妥当ではない 正当な理由があるとは審査請求、取消訴訟ともに可能である。
行政不服審査法18条(審査請求期間)抜粋
1項 処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2項 処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。行政事件訴訟法14条(出訴期間)
1項 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2項 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3項 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
- 妥当ではない 法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の記述がなく、妥当性に欠く選択肢であるため。
行政不服審査法8条(審査請求期間)
1項 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2項 前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。
一号 審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。
二号 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
三号 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
3項 第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。
- 妥当である 本肢の場合は不服申し立ての対象になるが、教示を怠ったことを理由として当該処分が取り消されることはない。
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