行政書士試験 過去問トレーニング vol.96
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行政書士過去問 平成30年問28
問題
A・B間で締結された契約(以下「本件契約」という。)に附款がある場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
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- 本件契約に、経済情勢に一定の変動があったときには当該契約は効力を失う旨の条項が定められている場合、効力の喪失時期は当該変動の発生時が原則であるが、A・Bの合意により、効力の喪失時期を契約時に遡らせることも可能である。
- 本件契約が売買契約であり、買主Bが品質良好と認めた場合には代金を支払うとする旨の条項が定められている場合、この条項はその条件の成就が代金債務者であるBの意思のみに係る随意条件であるから無効である。
- 本件契約が和解契約であり、Bは一定の行為をしないこと、もしBが当該禁止行為をした場合にはAに対して違約金を支払う旨の条項が定められている場合、Aが、第三者Cを介してBの当該禁止行為を誘発したときであっても、BはAに対して違約金支払の義務を負う。
- 本件契約が農地の売買契約であり、所有権移転に必要な行政の許可を得られたときに効力を生じる旨の条項が定められている場合において、売主Aが当該許可を得ることを故意に妨げたときであっても、条件が成就したとみなされることはない。
- 本件契約が金銭消費貸借契約であり、借主Bが将来社会的に成功を収めた場合に返済する旨の条項(いわゆる出世払い約款)が定められている場合、この条項は停止条件を定めたものであるから、Bは社会的な成功を収めない限り返済義務を負うものではない。
解説
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- 妥当である。 民法127条2、3項に規定されている通り解除条件は当事者の合意により、効力の喪失時期を契約時に遡らせることも可能である。
民法127条
1項「停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2項 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
3項 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。
- 妥当でない 判示では本肢のようなケースでも“条件が単に債務者の意思のみに係るとき”とは言えないとしている。
鉱業権移転登録手続請求 最判昭和31年4月6日
買主(被上告人)が排水探鉱の結果品質良好と認めたときは代金を支払うとの所論契約は、民法一三四条にいう「条件カ単ニ債務者ノ意思ノミニ係ル」ものとはいえない。
民法134条
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
- 妥当でない 民法130条2項の規定の通り利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
民法130条
1項 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
2項 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
- 妥当である 判示の通りである。
農地売買契約無効確認等請求 最判昭和36年5月26日
農地の売買契約を締結した当事者が知事の許可を得ることを条件としたとしても、それは法律上当然必要なことを約定したに止まり、売買契約にいわゆる停止条件を附したものということはできないとしたことは正当である。
そして、かりにいわゆる法定条件にも性質のゆるすかぎり民法の条件に関する規定の類推適用あるものとしても、原判決が、上告人と被上告人Bとの間の本件農地売買契約について、たとえ、被上告人Bに所論のような条件の成就を妨げる行為があつたとしても、民法一三〇条の規定の適用によつて、右売買契約が効力を生じて上告人が本件農地の所有者となつたものとすることはできない
- 妥当でない 借主Bが将来社会的に成功を収めた場合に返済する旨の条項(いわゆる出世払い約款)が定められている場合は不確定期限付きの契約である。
- 妥当である。 民法127条2、3項に規定されている通り解除条件は当事者の合意により、効力の喪失時期を契約時に遡らせることも可能である。
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