行政書士試験 過去問トレーニング vol.74
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行政書士過去問 平成27年問8
問題
裁判による行政上の義務履行確保について、最高裁判所の判決に照らし、妥当な記述はどれか
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- 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、法令の適用により終局的に解決することができないから、法律上の争訟に該当しない。
- 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、このような訴訟を提起することを認める特別の規定が法律にあれば、適法となりうる。
- 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、終局的には、公益を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものではないから、法律上の争訟には該当しない。
- 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、行政上の義務履行確保の一般法である行政代執行法による代執行が認められる場合に限り、不適法である。
- 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるわけではないが、現行法上、こうした訴訟を認める特別の規定があるため、提起することが許されている。
解説
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- 妥当ではない 結論は正しいが理由が誤り。判例においては「法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって,自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから」法律上の争訟に該当しないとしている。
- 妥当である 本肢の通りである。
- 妥当ではない 判例において財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には,法律上の争訟に当たるというべきであるとしている。
- 妥当ではない 判例は「国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって,自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから(選択肢1),法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく,法律に特別の規定がある場合に限り,提起することが許されるものと解される。」としている。
- 妥当ではない 判例は特別の規定有無ではなく、「国又は地方公共団体が提起した訴訟であって,財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には,法律上の争訟に当たるというべきである」としている
- 妥当ではない 結論は正しいが理由が誤り。判例においては「法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって,自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから」法律上の争訟に該当しないとしている。
宝塚市パチンコ条例事件 最判平成14年7月9日
国又は地方公共団体が提起した訴訟であって,財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には,法律上の争訟に当たるというべきである(選択肢3)が,国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって,自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから(選択肢1),法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく,法律に特別の規定がある場合に限り,提起することが許されるものと解される。(選択肢2)そして,行政代執行法は,行政上の義務の履行確保に関しては,別に法律で定めるものを除いては,同法の定めるところによるものと規定して(1条),同法が行政上の義務の履行に関する一般法であることを明らかにした上で,その具体的な方法としては,同法2条の規定による代執行のみを認めている。また,行政事件訴訟法その他の法律にも,一般に国又は地方公共団体が国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟を提起することを認める特別の規定は存在しない。したがって,【要旨1】国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たらず,これを認める特別の規定もないから,不適法というべきである。
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