行政書士試験 過去問トレーニング vol.66
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行政書士過去問 平成29年問21
問題
次の文章は、国家賠償法に関する最高裁判所判決の一節である。空欄[ Ⅰ ]~[ Ⅴ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか
原判決は、本件火災は第一次出火の際の残り火が再燃して発生したものであるが、上告人の職員である消防署職員の消火活動について失火ノ責任ニ関スル法律(以下「失火責任法」という。)は適用されず、第一次出火の消火活動に出動した消防署職員に残り火の点検、再出火の危険回避を怠つた[ Ⅰ ]がある以上、上告人は被上告人に対し国家賠償法一条一項により損害を賠償する義務があるとし、被上告人の請求のうち一部を認容した。
思うに、国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法四条は、同法一条一項の規定が適用される場合においても、民法の規定が[ Ⅱ ]ことを明らかにしているところ、失火責任法は、失火者の責任条件について民法七〇九条の特則を規定したものであるから、国家賠償法四条の「民法」に[ Ⅲ ]と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の[ Ⅳ ]合理的理由も存しない。したがつて、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任法が適用され、当該公務員に[ Ⅴ ]のあることを必要とするものといわなければならない。(最二小判昭和53年7月17自民集32巻5号1000頁)
- [ Ⅰ ]ア 重大な過失 イ 過失
- [ Ⅱ ]ア 補充的に適用される イ 優先的に適用される
- [ Ⅲ ]ア 含まれる イ 含まれない
- [ Ⅳ ]ア 適用を排除すべき イ 適用を認めるべき
- [ Ⅴ ]ア 重大な過失 イ 過失
解説
[ Ⅰ ]原判決においては、失火責任法適用されていないため重大な過失は選択しとして不適切と考えられる。
失火ノ責任ニ関スル法律
民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
[ Ⅱ]国家賠償4条の条文や文脈からも「ア 補充的に適用される」が適切と考えられる。
国家賠償4条
国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。
[ Ⅲ]文脈から「ア 含まれる」が適切と考えられる。
失火ノ責任ニ関スル法律
民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
[ Ⅳ]文脈から「ア 適用を排除すべき」が適切と考えられる。
[ Ⅴ]文脈から「ア 重大な過失」が適切と考えられる。
損害賠償 最判昭和53年7月17
原判決は、本件火災は第一次出火の際の残り火が再燃して発生したものであるが、上告人の職員である消防署職員の消火活動について失火ノ責任ニ関スル法律(以下「失火責任法」という。)は適用されず、第一次出火の消火活動に出動した消防署職員に残り火の点検、再出火の危険回避を怠つた過失がある以上、上告人は被上告人に対し国家賠償法一条一項により損害を賠償する義務があるとし、被上告人の請求のうち一部を認容した。思うに、国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法四条は、同法一条一項の規定が適用される場合においても、民法の規定が補充的に適用されることを明らかにしているところ、失火責任法は、失火者の責任条件について民法七〇九条の特則を規定したものであるから、国家賠償法四条の「民法」に含まれると解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用を排除すべき合理的理由も存しない。したがつて、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任法が適用され、当該公務員に重大な過失のあることを必要とするものといわなければならない。
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