民法一問一答 ~宅建士過去問解説令和元年問1~

民法一問一答

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参考過去問:宅建士過去問 令和元年問1

問題

Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。この場合に関する次の記述を民法の規定及び判例に基づいて正誤を判断してください。

甲土地を何らの権原なく不法占有しているCがいる場合、BがCに対して甲土地の所有権を主張して明渡請求をするには、甲土地の所有権移転登記を備えなければならない。

 

▼白色テキストで答えがあります▼

誤り 判例では不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るとしている。

 家屋明渡請求 最判昭25年12月19日

上告人等は結局何等の権原なくして被上告人所有の本件家屋を占有する不法占有者だということになる。不法占有者は民法第一七七条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものであること大審院の不変の判例で、当裁判所も是認する処である。されば、原審が登記の点について判断する処なくして被上告人の請求を是認したのは結局正当で、論旨は上告の理由とならない。

民法177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

▲白色テキストで答えがあります▲

 


Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。この場合に関する次の記述を民法の規定及び判例に基づいて正誤を判断してください。

Bが甲土地の所有権移転登記を備えていない場合には、Aから建物所有目的で甲土地を賃借して甲土地上にD名義の登記ある建物を有するDに対して、Bは自らが甲土地の所有者であることを主張することができない。

 

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正しい 民法605条の2 3項に規定されている通り、賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。

民法605条(不動産賃貸借の対抗力)

不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

民法605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)

1項 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2項 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
3項 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4項 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

▲白色テキストで答えがあります▲

 

 


Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。この場合に関する次の記述を民法の規定及び判例に基づいて正誤を判断してください。

Bが甲土地の所有権移転登記を備えないまま甲土地をEに売却した場合、Eは、甲土地の所有権移転登記なくして、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。

 

▼白色テキストで答えがあります▼

正しい 下記判示の通り、AはEの登記の欠缺を理由としてEの甲土地所有権の取得を否認する事は出来ない。言い換えると、Eは甲土地の所有権移転登記なくして、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。

土地所有権移転登記手続請求 最判昭39年2月13日

民法一七七条に所謂第三者たるには、係争土地に対しなんらか正当の権利を有することを要し、なんら正当の権利を有せず単に該土地を譲渡した前所有者にすぎない如きものは登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有するものといえない。(中略)同条に所謂第三者に該当するものではなく、登記の欠缺を理由として上告人の本件土地所有権取得を否認する正当な利益を有するものとはいえない。

民法177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

▲白色テキストで答えがあります▲

 

 


Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。この場合に関する次の記述を民法の規定及び判例に基づいて正誤を判断してください。

Bが甲土地の所有権移転登記を備えた後に甲土地につき取得時効が完成したFは、甲土地の所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる

 

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正しい 民法166条2項に規定されている通り、自然に権利が消滅することはない。

 取得時効と登記 最判昭41年11月22日

第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができるものと解すべき

 

▲白色テキストで答えがあります▲

 

 






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