民法一問一答 6
民法一問一答
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参考過去問:行政書士過去問 平成28年問29
問題
A、BおよびCが甲土地を共有し、甲土地上には乙建物が存在している。この場合に関する次の記述が民法の規定および判例に照らし、正誤を判断してください。
DがA、BおよびCに無断で甲土地上に乙建物を建てて甲土地を占有使用している場合、Aは、Dに対し、単独で建物の収去および土地の明渡しならびに土地の占拠により生じた損害全額の賠償を求めることができる。
誤り 共有者(A)は、不法占有者(D)に対し、単独で建物の収去および土地の明渡しを求めることが出来る(大判大7年4月19日)しかし、土地の占拠により生じた損害全額の賠償を求めることはできない。
最判昭51年9月7日 建物収去土地明渡等請求等
共有にかかる土地が不法に占有されたことを理由として、共有者の全員又はその一部の者から右不法占有者に対してその損害賠償を求める場合には、右共有者は、それぞれその共有持分の割合に応じて請求をすべきものであり、その割合を超えて請求をすることは許されないものといわなければならない。
A、BおよびCが甲土地を共有し、甲土地上には乙建物が存在している。この場合に関する次の記述が民法の規定および判例に照らし、正誤を判断してください。
Eが、A、BおよびCが共有する乙建物をAの承諾のもとに賃借して居住し、甲土地を占有使用する場合、BおよびCは、Eに対し当然には乙建物の明渡しを請求することはできない。
正しい 下記判示の通り、Eは承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するため、当然にBおよびCは、Eに対し当然には乙建物の明渡しを請求することはできない。
最判昭63年5月20日 診療所明渡請求事件
共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかつた共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかつた共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。
A、BおよびCが甲土地を共有し、甲土地上には乙建物が存在している。この場合に関する次の記述が民法の規定および判例に照らし、正誤を判断してください。
Fが賃借権に基づいて甲土地上に乙建物を建てた場合において、A、BおよびCが甲土地の分割協議を行うとするときは、Fに対して分割協議を行う旨を通知しなければならず、通知をしないときは、A、BおよびCの間でなされた分割の合意は、Fに対抗することができない。
誤り 本肢のようにFに対して分割協議を行う旨を通知しなければならない規定は存在しない。ただし、参加の請求をしたものを参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。
民法260条(共有物の分割への参加)
1項 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。
2項 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。
A、BおよびCが甲土地を共有し、甲土地上には乙建物が存在している。この場合に関する次の記述が民法の規定および判例に照らし、正誤を判断してください。
Aが乙建物を所有し居住している場合において、Aが、BおよびCに対して甲土地の分割請求をしたときは、甲土地をAに単独所有させ、Aが、BおよびCに対して持分に相当する価格の賠償を支払う、いわゆる全面的価額賠償の方法によって分割しなければならない。
誤り 全面的価額賠償の方法によって分割しなければならない規定は存在しない。
民法258条(裁判による共有物の分割)
1項 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2項 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
最判平8年10月31日 共有物分割
民法二五八条二項は、共有物分割の方法として、現物分割を原則としつつも、共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによって著しく価格を損じるおそれがあるときは、競売による分割をすることができる旨を規定してる。(中略)右の規定は、すべての場合にその分割方法を現物分割又は競売による分割のみに限定し、他の分割方法を一切否定した趣旨のものとは解されない。そうすると、共有物分割の申立てを受けた裁判所としては、現物分割をするに当たって、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることができる(最高裁昭和五九年(オ)第八〇五号同六二年四月二二日大法廷判決・民集四一巻三号四〇八頁参照)のみならず、当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(以下「全面的価格賠償の方法」という。)による分割をすることも許されるものというべきである。
A、BおよびCが甲土地を共有し、甲土地上には乙建物が存在している。この場合に関する次の記述が民法の規定および判例に照らし、正誤を判断してください。
A、BおよびCが乙建物を共有する場合において、Aが死亡して相続人が存在しないときは、Aの甲土地および乙建物の持分は、BおよびCに帰属する。
正しい 民法255条に規定されている通り。
民法255条(持分の放棄及び共有者の死亡)
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
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