【公務員・行政書士試験受験者】行政法一問一答トレーニング48題目

行政法一問一答

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参考過去問:行政書士過去問 平成30年問20

国家賠償法1条に関する次の記述を最高裁判所の判例に照らし、妥当かを判断してください。

建築主事は、建築主の申請に係る建築物の計画について建築確認をするに当たり、建築主である個人の財産権を保護すべき職務上の法的義務を負うものではないから、仮に当該建築主の委託した建築士が行った構造計算書の偽装を見逃したとしても、そもそもその点について職務上の法的義務違反も認められないことから、当該建築確認は国家賠償法1条1項の適用上違法にはならない。

 

▽白文字で解答があります▽

妥当ではない 下記判示の通り、注意を怠って漫然とその不適合を看過した結果当該計画につき建築確認を行ったと認められる場合には、国家賠償法1条1項の適用上違法となる場合がある。  

損害賠償請求事件 最判平成25年3月26日

建築主事による当該計画に係る建築確認は,例えば,当該計画の内容が建築基準関係規定に明示的に定められた要件に適合しないものであるときに,申請書類の記載事項における誤りが明らかで,当該事項の審査を担当する者として他の記載内容や資料と符合するか否かを当然に照合すべきであったにもかかわらずその照合がされなかったなど,建築主事が職務上通常払うべき注意をもって申請書類の記載を確認していればその記載から当該計画の建築基準関係規定への不適合を発見することができたにもかかわらずその注意を怠って漫然とその不適合を看過した結果当該計画につき建築確認を行ったと認められる場合に,国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である。

 

 

 


 

警察官が交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に、逃走車両の走行により第三者が損害を被った場合において、当該追跡行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否かについては、当該追跡の必要性、相当性に加え、当該第三者が被った損害の内容および性質ならびにその態様および程度などの諸要素を総合的に勘案して決せられるべきである。

 

▽白文字で解答があります▽

妥当ではない 下記判示の通り、当該第三者が被った損害の内容および性質ならびにその態様および程度などの諸要素は積極的に述べられていない。

損害賠償 最判昭和61年2月27日

警察官がかかる目的のために交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に、逃走車両の走行により第三者が損害を被つた場合において、右追跡行為が違法であるというためには、右追跡が当該職務目的を遂行する上で不必要であるか、又は逃走車両の逃走の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無及び内容に照らし、追跡の開始・継続若しくは追跡の方法が不相当であることを要するものと解すべきである。

 

 

 


法令に基づく水俣病患者認定申請をした者が、相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされないという利益は、内心の静穏な感情を害されない利益として、不法行為法上の保護の対象になるが、当該認定申請に対する不作為の違法を確認する判決が確定していたとしても、そのことから当然に、国家賠償法1条1項に係る不法行為の成立が認められるわけではない。

 

▽白文字で解答があります▽

妥当である 下記判示の通り。

水俣病認定業務に関する熊本県知事の不作為違法に対する損害賠償 最判平成3年4月26日

認定申請者としての、早期の処分により水俣病にかかっている疑いのままの不安定な地位から早期に解放されたいという期待、その期待の背後にある申請者の焦燥、不安の気持を抱かされないという利益は、内心の静穏な感情を害されない利益として、これが不法行為法上の保護の対象になり得るものと解するのが相当である。
 次に、本件において、認定申請者の内心の静穏な感情を害されないという利益が法的保護の対象になり得るとしても、処分庁の侵害行為とされるものは不処分ないし処分遅延という状態の不作為であるから、これが申請者に対する不法行為として成立するためには、その前提として処分庁に作為義務が存在することが必要である。けだし、他者の不作為により内心の静穏な感情が害され、不安感、焦燥感を抱く結果になることがあることは否定できないとしても、作為義務を前提としない不作為それ自体は、法的に意味のある行為と評価することはできないからである。
 また、作為義務のある場合の不作為であっても、その作為義務の類型、内容との関連において、その不作為が内心の静穏な感情に対する介入として、社会的に許容し得る態様、程度を超え、全体としてそれが法的利益を侵害した違法なものと評価されない限り、不法行為の成立を認めることができないと解すべきである。

 

 


 

所得金額を過大に認定して行われた所得税の更正は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることとなるが、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、過失があるとの評価を受けることとなる。

 

▽白文字で解答があります▽

妥当ではない 下記判示の通り、直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではない。

損害賠償 最判平成5年3月11日

税務署長のする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法一条一項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、右の評価を受けるものと解するのが相当である。

 

 


 

公立学校における教師の教育活動も国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」に該当するから、学校事故において、例えば体育の授業において危険を伴う技術を指導する場合については、担当教師の指導において、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務が尽くされたかどうかが問題となる。

 

▽白文字で解答があります▽

妥当である 下記判示の通り。

損害賠償 最判昭和62年2月6日

国家賠償法一条一項にいう「公権力の行使」には、公立学校における教師の教育活動も含まれるものと解するのが相当であり、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。(中略)学校の教師は、学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務を負つており、危険を伴う技術を指導する場合には、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務があることはいうまでもない。

 

 

 

 






 

 


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