行政書士試験 過去問トレーニング vol.198

行政書士過去問一問一答

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行政書士過去問 平成26年問9

問題

行政立法に関する次の1~5の記述を、最高裁判所の判例に照らし、正誤を判断してください。。法令および省庁名は当時のものである。

    1. 文部省令が、登録の対象となる文化財的価値のある刀剣類の鑑定基準として、美術品として文化財的価値を有する日本刀に限る旨を定めたことは、銃砲刀剣類所持等取締法の趣旨に沿う合理性を有する鑑定基準を定めたものというべきであるから、これをもって法の委任の趣旨を逸脱する無効のものということはできない。
    2. 教科書検定につき、文部大臣が、学校教育法88条 * の規定に基づいて、文部省令、文部省告示により、審査の内容及び基準並びに検定の施行細則である検定の手続を定めたことは、法律の委任を欠くとまではいえない。
    3. 児童扶養手当法施行令が、父から認知された婚姻外懐胎児童を児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲から除外したことは、社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものとは認められないので、児童扶養手当法の委任の範囲を逸脱した違法な規定と解することはできない。
    4. 地方自治法施行令が、公職の候補者の資格に関する公職選挙法の定めを議員の解職請求代表者の資格について準用し、公務員について解職請求代表者となることを禁止していることは、地方自治法の委任に基づく政令の定めとして許される範囲を超えたものとはいえない。
    5. 国家公務員法が人事院規則に委任しているのは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる政治的行為の行為類型を規制の対象として具体的に定めることであるから、国家公務員法が懲戒処分の対象と刑罰の対象とで殊更に区別することなく規制の対象となる政治的行為の定めを人事院規則に委任しているからといって、憲法上禁止される白紙委任に当たらない。




解説

 

    1. 正しい 下記判示の通り 

      刀剣登録拒否処分取消 最判平成2年2月1日

      規則が文化財的価値のある刀剣類の鑑定基準として、前記のとおり美術品として文化財的価値を有する日本刀に限る旨を定め、この基準に合致するもののみを我が国において前記の価値を有するものとして登録の対象にすべきものとしたことは、法一四条一項の趣旨に沿う合理性を有する鑑定基準を定めたものというべきであるから、これをもって法の委任の趣旨を逸脱する無効のものということはできない。

       


       

    2. 正しい 下記判示の通り

      損害賠償請求事件 最判平成5年3月16日

      そして、右旧検定規則、旧検定基準は、前記のとおり、右の関係法律から明らかな教科書の要件を審査の内容及び基準として具体化したものにすぎない。そうだとすると、文部大臣が、学校教育法八八条の規定(「この法律に規定するもののほか、この法律施行のため必要な事項で、地方公共団体の機関が処理しなければならないものについては政令で、その他のものについては監督庁が、これを定める」)に基づいて、右審査の内容及び基準並びに検定の施行細則である検定の手続を定めたことが、法律の委任を欠くとまではいえない。

       


       

    3. 誤り 児童扶養手当法施行令が、父から認知された婚姻外懐胎児童を児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲から除外することは,法の趣旨,目的に照らし両者の間の均衡を欠き,法の委任の趣旨に反するものといわざるを得ない。

      児童扶養手当資格喪失処分取消請求事件 最判平成14年1月31日

      婚姻外懐胎児童が認知により法律上の父がいる状態になったとしても,依然として法4条1項1号ないし4号に準ずる状態が続いているものというべきである。そうすると,施行令1条の2第3号が本件括弧書を除いた本文において,法4条1項1号ないし4号に準ずる状態にある婚姻外懐胎児童を支給対象児童としながら,本件括弧書により父から認知された婚姻外懐胎児童を除外することは,法の趣旨,目的に照らし両者の間の均衡を欠き,法の委任の趣旨に反するものといわざるを得ない。

       


       

    4. 誤り 下記判示の通り。

      解職請求署名簿無効決定異議申立棄却決定取消請求事件 最判平成21年11月18日

      本件各規定は,地自法85条1項に基づき公選法89条1項本文を議員の解職請求代表者の資格について準用し,公務員について解職請求代表者となることを禁止している。これは,既に説示したとおり,地自法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超えたものであって,その資格制限が請求手続にまで及ぼされる限りで無効と解するのが相当である。

       


       

    5. 正しい 下記判示の通り。

      国家公務員法違反被告事件 最判平成24年12月7日

      本件罰則規定は,不明確なものとも,過度に広汎な規制であるともいえないと解される。また,既にみたとおり,本法102条1項が人事院規則に委任しているのは,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる政治的行為の行為類型を規制の対象として具体的に定めることであるから,同項が懲戒処分の対象と刑罰の対象とで殊更に区別することなく規制の対象となる政治的行為の定めを人事院規則に委任しているからといって,憲法上禁止される白紙委任に当たらないことは明らかである

 






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