行政書士試験 過去問トレーニング vol.177

行政書士過去問一問一答

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行政書士過去問 平成27年問29

問題

甲土地を所有するAとその隣地の乙土地を所有するBとの間の相隣関係に関する記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。なお、次の各場合において、別段の慣習は存在しないものとする。

    1. Aは、境界線から1メートル未満の距離* において乙土地を見通すことができる窓または縁側(ベランダも含む)を設けることができるが、その場合には、目隠しを付さなければならない。
    2. 甲土地に所在するAの竹木の枝が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、自らその枝を切除することができる。
    3. 甲土地に所在するAの竹木の根が境界線を越えて乙土地に侵入した場合に、Bは、その根を切除することはできず、Aにその根を切除させなければならない。
    4. AおよびBが甲土地および乙土地を所有する前から甲土地と乙土地の境界に設けられていた障壁は、AとBの共有に属するものと推定されるが、その保存の費用は、A・B間に別段の約定がない限り、AとBが、甲土地と乙土地の面積の割合に応じて負担する。
    5. 甲土地内のAの建物の屋根から雨水が直接に乙土地に注がれる場合に、Bは、その雨水が注がれることを受忍しなければならない。




解説

 

    1. 正しい  民法235条に規定されている通り。

      民法235条

      1項 境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
      2項 前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する

       


       

    2. 誤り 民法233条に規定されている通り、AはBにその枝を切除させることができる。

      民法233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)

      1項 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
      2項 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

       


       

    3. 誤り 民法233条に規定されている通り、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

      民法233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)

      1項 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
      2項 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

       


       

    4. 誤り 民法229条より障壁は相隣者の共有に属するものと推定する。さらに別段の約定がない限り民法250条より共有者の持ち分は相等しいものと推定されるから、民法253条1項の規定より、本肢の場合は相隣者が等しい割合で負担することになる。

      民法229条(境界標等の共有の推定)

      境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。

      民法250条(共有持分の割合の推定)

      各共有者の持分は、相等しいものと推定する。

      民法253条(共有物に関する負担)

      1項 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
      2項 共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。

       

       


       

    5. 誤り 民法218条に規定されている通り。Bは、その雨水が注がれることを受忍しなければならないとする点が誤り

      民法218条(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止)

      土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。

       

       

 






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